難波弘之 「アミテージ・ザ・サード」(1995)

 シンフォ・プログレを下敷きにテクノ風へ仕上げたOVAアニメのサントラ。

 SF作家にしてプログレ志向のイメージがあった難波弘之の盤にしては、このテクノ系は新鮮なアプローチだ。
 上記は最初に出たサントラ盤。このアニメは96年にインターナショナル・バージョンができたらしく、CDは曲を追加し96年に再発。海外版ではJulian Mackとの共同名義で2枚組と、さまざまなバージョンあり。ぼくは本盤しか聴いておらず、比べられないが・・・。
 
    

 もともとこのアニメはリアルタイムで知らず、何年も前に難波弘之の過去作品を検索して知り、本盤を入手した後追い。したがってこのアニメそのものの評価もわかっていない。
 OVAが95年に発表。96年に映画"POLY-MATRIX"として再編集された。01年には続編"DUAL-MATRIX"も発表だそう。火星を舞台の刑事ものSFサイバーパンク、という。

 なお本盤は全曲が難波の作曲ではない。インストだけ。歌ものな3曲中、4と8は三浦淳。12は山田信正、長井尚の作曲だ。4と8はLinda Hennrick、12は優の笠原弘子が歌っている。
 なお4と8は一流スタジオミュージシャンを集めたアコースティックな仕上がり。12は打ち込み。難波の打ち込みも含めてまちまちなアレンジだ。その分アルバムとしては、バラエティに富んだ仕上がりか。

 録音クレジットがほとんどライナーに記載無くて、委細が不明。シンセのプログラミングで林英幸、10と11のギターでBAKIのクレジットあるだけ。1でサックスも聴こえるが、サンプリングかな。
 
 とにかく打ち込みビートの硬質さと、ミニマル・テクノに似た展開が意外だ。あえて難波がこの作曲をしたとは。細野のノンスタやFOE時代を連想するが、あれよりは硬質。リズムは跳ねず、ジャストに進んでいく。鍵盤でメロディを紡がず、ギター音色なども。
 シンフォニックな要素はもちろんあるが、あえて難波は自分の過去のイメージを控えて実験的なアプローチをとった。
 
 ダンス・ビート強調かと思えば3ではアルペジオが柔らかく鳴る、やはりメカニカルだが柔らかい楽曲もあり。3ではピアノ音色でロマンチックな単音アドリブも聴ける。エレピなのか、やはり音が硬い。

 難波のアニメ音楽と言えば"真幻魔対戦"を連想する。シンフォニックなプログレで、鍵盤主体のサウンドのイメージだ。


 ライナーによれば「コンセプト・アルバムとして聴いてほしい」と難波のコメントあり。レイブ以外なら何でもOK,の発注だったそう。
 とはいえ自由にやっても奔放にはならず。場面ごとにふさわしい、バラエティに富んだ盤だ。

 しかし先入観ってのは怖い。最初はアナログ的なシンフォニックさを求めてたのに。冒頭からのテクノ路線で頭がエレクトロ・ビートに縛られ、6で手弾きっぽい雄大なシンフォニックな鍵盤曲が現れ、7ではスイング・ジャズのアレンジ。そしたら、なんだか違うような気がしてしまった。本来、こっちの路線を期待して本盤を聴いてたはずなのに。

 なお7はジャズ・コンボ。ピアノ・トリオのリズムにフルートやペット音色のシンセが入る編成のアレンジを取った。
 リズムと和音を打ち込みで、ピアノやフルートのソロのみ手弾きに聴こえてしまう。

 9や10ではエレキギターのソロをフィーチュアして、シンプルにロックなインストでギターと鍵盤のアンサンブルを聴かせた。打ち込みビートの硬質さが、プラスティックな歯ごたえでユニークなサウンド。ぼくの好みはテクノなブレイクが盛り上げる10かな。
 11も同様のアプローチ。この曲が9~11で最も肉感的なノリだ。

 それにしても時代なのか、響きがずいぶんとコンパクトだ。音質のせいか、楽器のせいか。それともこの硬質さも含めて、難波の狙いか。

Track listing:
1. メイン・テーマ
2. セカンド・タイプ
3. アミテージ
4. ヒア・ウィズ・ユー
5. マーチャン・ポリス・デパートメント
6. テラフォーミング
7. スウィング
8. チート!チート!
9. ダンクロード
10. チェイス!
11. 哀愁
12. いい夢を思い出せない


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