Toby Lightman 「Bird On A Wire」(2006)

 カントリー風味で作りこんだ、SSW作品。

 ニュージャージーのSSW、トビー・ライトマンが06年に発表の2nd。カントリーのタッチで勇ましくも涼やかな楽曲が彼女の持ち味だ。
 本盤は前作とスタッフを変え、多数のミュージシャンを招いた。知らない人ばかりだが、経歴を見るとSSW的な人が多いように思う。単純なスタジオ・ミュージシャンじゃなく、歌心持つ人を集めたってことか。
 どういういきさつか、(2)と(5)でプリンス&レボリューションズの元メンバーで、ウェンディ&リサのウェンディ・メルボインがベースとギターを弾いている。

 1st発売後に新曲でシングル"Operator"があったが、本盤には収録されず。

 楽曲は前作より大人方向に進んだ。全曲がトビーのオリジナルだが共作も多い。

 本盤からは"Holding Me Down"をシングル・カット。PVはこちら。あまり予算かけずシンプルな演出でタフなSSW路線を志向が伺える。

 ちなみにこの曲はアルバムでけっこう地味なほう。CDの11曲目に収録と、配置も渋い場所だ。なぜこれがカットされたか、ふしぎ。楽曲としてはコード進行が凝ってるが。
 でも改めて本盤を通し聴きしたら、シングル選定には無難かも。全体的に線の細めな曲ばかりだから。(2)もシングル向きと思うが、(11)ほどパンチは聴いてない。
 
 その後同年にシングル"Sleigh Ride"を発表するも、アルバム未収録。
 いずれにせよ売り上げは今一つだったのか、このあとの彼女はインディへ向かう。
 08年に"Waiting"というアルバム未収録シングルを発表だそう。


 ぼくは本盤ではメロウな(4)が好き。
 多重ボーカルを駆使し、アコースティックで個人的な世界を作った。バンド編成だがギターを激しく鳴らす喧しさは無い。ドラムはいくぶん重いけれど、むしろ埃っぽいカントリー風に仕上げた。都会の洗練さより、もっと開放的な広がりを感じる。
 その割に一発録りではなく、細かく多重録音やダビングを施す手法で作られた。

 過半数の曲をプロデュースはBill Bottrell。マイケル・ジャクソンやシェリル・クロウの録音に参加歴あり。マイケルの"Black Or White"(1991)の歌詞と共同プロデュースが彼。実績あるプロデューサー投入で売れ線を狙ったか。
 本盤では1,3,4,6,9,10,13を担当した。鍵盤やギターも弾いている。
 確かに硬質な仕上がり。けれどオーバー・プロデュースな感じはしない。良い感じでトビーを洗練されたワイルドさに仕立てた。

 2,5,7,8,11,12の残る曲をプロデュースがPatrick Leonard。ソロ作"Rivers"(1996)もあるが、むしろ作曲家として多数の作品を発表してる。マドンナを筆頭に、一流どころと仕事してきた。マドンナの"Live To Tell"は彼が共同作家でクレジットあり。
 彼はカントリー風味をトビーに足した。やはり丁寧なアレンジで過剰な作りこみは無し。

 こうしてみると二人のバランスがうまいこと多層的な魅力を本盤に与えた。もともとメロディックで、パンチ力あるトビーの楽曲が二人のプロデュースでそれぞれに映えている。
 よくできている。1stの鋭い瑞々しさは減じたが、本盤は隙の無い作りこみだ。総合プロデューサーは誰か不明だが、いい仕事と思う。
 トビーはその分、素材っぽい立ち位置なきらいあり。オリジナル曲だが作らされた感が少しある。そのへんがトビーはもどかしく、インディへ向かったのかも?
 
 なお日本盤は1曲ボートラ入り。それは"Alone (slow mix)"とクレジットあるが、実際に収録はバンドでアレンジな別の曲。"Knife in your mouth"と歌われる曲。なんなんだ。


Track listing:
1. Don't Wake Me 3:39
2. Don't Let Go 3:56
3. Better 3:55
4. Slippin' 4:25
5. Round & Round 3:31
6. My Sweet Song 4:01
7. Alone 3:40
8. One Sure Thing 4:04
9. Overflowing 3:34
10. Weight Of The World 4:03
11. Holding Me Down 3:19
12. I'd Be Lost 3:49
13. Good Find 5:03
14. Knife in your mouth


Personnel:
Toby Lightman - Vocal,dobro, acoustic guitar, electric guitar, lap steel guitar, string arrangements, background vocals

Bill Bottrell- bells, chimes, e-bow, acoustic guitar, electric guitar, drum loops, mellotron, moog synthesizer, organ, pedal steel guitar, piano, string arrangements, synthesizer, Wurlitzer
Paul Bushnell- bass guitar
Caroline Campbell- violin
James Freebarin-Smith- cello
Neel Hammond- violin
Joseph Hanna- drums, percussion
Patrick Leonard- keyboards, lap steel guitar, piano, programming
Toby Lightman- dobro, acoustic guitar, electric guitar, lap steel guitar, string arrangements, lead vocals, background vocals
Brian Macleod- drums, percussion
Justin Meldal-Johnsen- bass guitar
Wendy Melvoin- bass guitar, electric guitar
Han Oh- viola
Tim Pierce- dobro, e-bow, acoustic guitar, electric guitar, mandolin
Dan Schwartz- bass guitar
Shari Freebairn Smith- violin
Lyle Workman- electric guitar

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