III FRUM THA SOUL 「What Cha Missin'」(1993)

 当時、話題になったボーカル・グループ。その後の活動も調べてみた。

 雨後の筍のごとく90年代頭にごっそり出たコーラス・グループの一つ。オハイオ州シンシナティ出身で、発表当時はかなり評価が高い盤だった。廃盤だが中古は特にプレミアついてなさそう。

 インディ・レーベルBrown Street Recordsから発売。Discogsではこのグループ以外だと、Kirvで一枚のリリース歴のみ。どのていどレーベルとして機能したかも謎だ。

 本盤のプロデュースはLo(Angelo Ray), Chip(Chip Allen)の二人。Discogsで過去の作品群もでるが、あまりピンとこない。地元のプロデューサーを起用か。いまいちよくわからない。
 アルバム前半がアップ、後半でスローと当時のボーカル・グループでよくあった構成を取る。時代を経てアップがどうしても古びてしまい、後半を中心に聴きたい。ただ(1)はPVみるとけっこうかっこよさが伝わる。

 歌唱力があり、スピーディなアップの歌い回しと、じっくり太く張るスローの双方で聴かせるのが彼らの強み。音域もハイトーンから低音まで幅広く使えるし。曲が今一つ単調なのが惜しい。歌より歌唱力で聴かせてる感あり。

 (8)は前半がO'Jays、後半はテディペンをカバー。正統派ボーカル・グループの影響を素直に示す姿勢は、当時だとけっこう珍しいのでは。このトラックがジンとくるのは、曲の良さと歌声の確かさ、双方が噛み合っているためだ。打ち込みのチープなストリングス音色だが、きっちり厚く甘く仕上がってる。しかし曲のつなぎは唐突で強引だ。

 オリジナルだと(7)がベスト。70年代ソウルの味わいを直結した太くしっかりしたメロディと、ちゃかぽこ鳴る打ち込み80年代の風味が見事に結合した。小さく入るギターの響きも効果的。ストリングス音色のシンセで、少し安っぽいのが無念。
 歌声も頼もしい。当時の流行りで本盤でも多数聴けるベタッと張り付くコーラスでなく、分離良い響きで嬉しい。中盤の語りがいかにもスイート・ソウル。

 (9)ではバリトンのシャウトが迫力あり、曲の単調さを完全に歌唱力で聴かせる。転調した大サビのメロディも雰囲気は良いのに、途中で小粒になってしまう。アレンジはむやみにゴージャスさを狙いすぎず、コンパクトで気持ちいいのに。ホーンのシンセ処理はいただけないが。

 (1)と(10)がシングルで切られた。(1)のPVがあった。Jodeciあたりに影響受けてそうな、マッチョで不良で歌が上手くてクールって路線だ。とりあえず上半身脱いで大胸筋を強調し、女の子をはべらす。ニュー・ジャックスイング世代だね。

 (10)のPVはこちら。音が悪いのはご愛敬。今度はちゃんと服を着て、しっとり決めた。女の子のカットが頻出は変わらんが。


 (1)でフレーズごとに歌を回す方法論はラップのマイク・リレーと変わらない。ただフレーズごとに歌を回し、あまり俺が俺がって我が強くない。
 3分過ぎてシャウトやフェイクが頻繁に入るあたりから面白さが増すが、ベタッと詰まったコーラス・ワークは今聴くと当時の流行りすぎて、少しばかり古臭くもある。

 III FRUM THA SOULのメンバーはVictor Green(Vic G),Jimmy Johnson(Big Jim),LaMonte Richardsonの三人。LaMonteはラップも担当した。
 本盤のあと、98年にBrown StreetがRCAに吸収され2nd "III Frum Tha Soul"をリリースなるも、この盤は未聴でコメントできず。Gerald LevertやKeith Sweatなど大物をプロデューサーに立てたが日本盤のみ発売で終わったらしい。
 00年に解散。メンバーの一人はBig Jim名義でソロ活動し"COMMITMENT EPISODE 1"(2003)を発表した。ジャケ写はDisc Unionの記事に掲載あり。


 2010年にインディにてデュオで再結成した。2011年に3rd"Time Waits for No One"を発表。CD BabyやAmazonで購入が可能だし、レーベル元でもカタログが生きていた。
 

 ライブ映像もYoutubeにあった。バンド名に特徴あると、検索が容易でありがたい。93年にそこまで意識してないはずだが。

 これは2010年にアップのプロモ映像。この時点は3人のボーカリストがいる。

 ただしこのBmrの記事によれば2010年に再結成は二人とある。なんなんだ。新譜"Our Journey"の発売予告は、上記"Time Waits for No One"のことか。

 こちらは99年、解散前のライブで鍵盤とギターをバックに歌う動画。歌のうまさはさすがだが、安っぽさは否めない。ライティングがせわしなくて、酔いそう。右は同じライブの違う曲を別アングルから録っている。
 

 こちらはバンド編成のライブで、録音時期は不明。アップは2012年と比較的最近で、商品化を予告する映像だ。ボーカルが二人になってる。途中でグループのURLが紹介されるけれど、既に閉鎖されており委細がわからない。新譜も発売って記載もあるのに。2010年当時の映像かな?


 なお3 frum tha soul名義でFacebookは稼働中。
https://www.facebook.com/3-frum-tha-soul-175116188193/
 15年4月にグループのライブ、5月はウィスパーズらのオープニング・アクトを担当と、地道に活動は続けてるようだ。同年8月にはBig Jim名義の曲をサンクラにアップした。


 このまましぶとく活動を続けて欲しい。しかし今や、このくらいまではパッと自分の部屋で情報をたどれるのか。びっくり。

Track listing:
1. What Cha Missin'
2. Crazy About You
3. Swing That Money
4. He Said, She Said
5. It's Time
6. (Interlude)
7.I Can't Wait
8. Let Me Make Love To You / Turn Of The Lights (Medley)
9. Distand Lover
10. I Get Lonely
11. Still Your Friend
12.What Cha Missin' (Smooth Mix)
 
Personnel:
Guitar - Darlene Moreno (on 7)
Producer - Lo(Angelo Ray), Chip(Chip Allen)
Rap - LaMonte Richardon (on 1 to 4, 11)
Vocals - Angelo Ray, III Frum Tha Soul

Written-By - Allan Felder (tracks: 8), Lo (tracks: 1 to 7, 9, 10, 12), Bunny Sigler (tracks: 8), Chip (tracks: 1 to 7, 9, 10,12), K. Gamble (tracks: 8), L. Huff (tracks: 8),LaMonte Richardon (tracks: 11)


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