Pete Namlook / DJ Dag 「Adlernebel」(2000)

 軽やかでキュートなトランスが楽しめる一枚。

 自らのレーベル"Fax +49-69/450464"から膨大なリリースを送り出したピート・ナムルックがドイツのDJ、Dj Dagとコラボしたおそらく唯一のアルバム。CDはFAXの例にもれず3000枚限定。もっとも晩年の300枚限定とかに比べれば多い。配信などのメディアがまだなく、CDがメディアの中心だったためだろう。

 今はCDがプレミアついてるしAmazonではMP3配信無いみたい。でもi-tunesで音源は容易に入手可能だ。URLはこちら。
https://itunes.apple.com/jp/album/adlernebel/id41839618

 5~9分くらいの作品を6曲並べ、長尺ミニマルとは違う路線を取った。ポップなテクノでリミックスにて延長できる要素を一杯残しつつ、本盤ではコンパクトにまとめてる。

 (1)はアコギやチューブ・ドラムのサンプルを取り入れた。4つ打ちの構造ながらリズムを押し付けず、小粋なビート感が広がる。ピアノ音色サンプルも途中で涼やかに鳴る。 
 パッド音色の広がりが根底にあるけれど、さまざまな音を加えて弾けるパーカッション的な電子音でミニマルだが伸びやかな音像を作った。

 (2)もチューブ・ドラムが冒頭から登場、偶数拍でシンセ・ドラムのハイハットが刻み、野太いシンセが登場。トランシーな展開を持つが、キックが弱め。クラブの轟音で聴いたら印象変わるはずだが、家で聴く分には重心軽い。

 音を聴いてて、相変わらず創作過程が想像できない。リアルタイムに同時演奏で録音ではなさそうだし、モチーフを送りあってダビングにしては二人の色合いがわかりづらい。
 (3)は低音が4つ打ちを強調したトランスに向かった。ブレイクできらびやかな音色が鈍く輝くフレーズを挿入し、単調さを回避してる。この曲だけで一つのストーリーを作っており、ドラマティックな要素も。この辺の構築美がナムルックの色かな?

 (4)だと冒頭のガバ風から派手に行きそうな雰囲気が、一瞬にして消え去りビート強調のミニマルな展開に。一筋縄でいかず、なおかつ賑やかな盛り上がりが良い。この曲も途中から4つ打ちが前面に出たトランス展開に。

 (5)は女性ボーカルがエキゾティックな声を乗せ、オオカミの吼え声も加わる。ホラーじみた映画音楽っぽいイントロが、太いシンセの音色がミニマルに塗りつぶす本編に。
 ラテン・パーカッション音色が小刻みに鳴るパターンで、軽快に押した。ただし重苦しい雰囲気はそのまま。リズムのおかげで暗さは無いが。

 最終曲(6)はエイトビートのパターンへ、さらにリズムが乗る。80年代テクノを連想するチープさと軽みを持った。中盤で太い音色のパッドが広がりトランス風味を出すけれど、マリンバ風音色がやがて細く舞ったりと、小気味よさを出す工夫を感じた。

 00年のナムルックは本盤を含む以下の9枚をリリース。だいたい毎月1枚のペース。93~96年頃はそれこそ数日おきのリリースなペースすらあったが、この00年頃には若干落ち着いていた。 
Outland 4
Inoue/Edwards/Beail
Jet Chamber V
Possible Gardens
Move D/Namlook IV
Adlernebel
Virtual Vices II
4 Voice III
The Fires of Ork 2

 ナムルックは膨大なタイトルでどれ聴けばいいか迷うけれど、とりあえず耳にして好みな音源を探せばいいと思う。 
 
Track listing:
1.The Forgotten Trail 8:48
2.Raum Und Zeit 6:30
3.The West Is The Best 5:18
4.Pure Energy 6:45
5.Dagar 8:39
6.You Gotta Hold It In Your Lungs Longer, George 7:08

Written-By – DJ Dag, Pete Namlook

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