TZ 7183:The Cracow Klezmer Band "Bereshit"(2003)

 クレヅマーを土台に、シンフォ・プログレめいた構築美で鮮やかに描いた傑作。

 ポーランドのクレヅマー・ジャズ・バンドで、アコーディオン奏者のJarosław Besterがリーダー。TZADIKで発売当時はThe Cracow Klezmer Band名義。しかし本人は現在、このバンドをBester Quartetと呼称してるようだ。

 なお演奏するアコーディオンは、ロシアのBayan。彼の演奏風景を一つ、Youtubeから貼っておく。右手が鍵盤でなくボタンなのがわかる。


 アルバムはほぼすべてTZADIKからリリースで、本作は3rdにあたる。今現在、他にはジョン・ゾーンがらみの2枚のみ聴いた。
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De Profundis (2000)
The Warriors (2001)
Bereshit (2003)
Sanatorium Under the Sign of the Hourglass (2005)
Balan: Book of Angels Volume 5 (2006)
Remembrance (2007)
Metamorphoses(2012)
Krakoff(2013)(非TZADIK,EMIから)
The Golden Land(2013)

 EMIの盤だけ、Amazonを貼っておく。DVD付きらしいが、詳細は不明。


 アコーディオンと同時に、バイオリンが切なく鳴る2トップ編成のサウンド。鮮やかに絞り出される美しい旋律を、軽やかなリズムで煽る。ライブ映像がわかりやすく、鮮烈さが伝わるかもしれない。
 比較的、近年のライブ映像。どちらも2013年のライブらしい。
 

 作曲とアレンジはJarosław Besterで、サウンドの主導権は彼ががっしり握ってるようだ。
 破綻無く美しい音楽世界を紡ぐテクニック、重厚さと親しみやすいメロディの双方を併せ持つ、まさに近年のジョン・ゾーンの方向性に近しい音楽性といえる。もちろんクレヅマーの方向性を持って、自らの文化ルーツにも敬意を表する。

 なおゲストでGrażyna Auguścikが参加。(3)では多重録音でハーモニーを重ねつつ、しとやかな歌声を載せる。ドラマティックでシンフォニック・プログレめいた要素もあり。(6)でも幻想的なヴォイスを漂わせる。
 彼女はリーダー作も複数ある、ポーランドのジャズ歌手のようだ。


 本盤はラビ・ナフマン・ブラツラフに捧げられた。超正統派のユダヤ教運動ハシディズムで、人気ある18世紀末~19世紀初頭に活動した敬愛されるラビらしい。
 ジャケ裏には創世記第一章の冒頭が引用されている。

 曲名はよくわからないが、トータル・アルバムなのかも。ただし予備知識無くとも、爽快なテクニックで疾走し、美しく醸成されたサウンドを楽しめる。
 (4)ではパーカッション奏者がクラリネットに持ち替え、たぶんアコーディオンでシンセめいた金属質な音色を出し、ひときわ不穏でいわくありげな風景を作った。

 丁寧に作曲されている。細かいメロディが確かなテクニックで体現してる。
 演奏は一発録音かもしれないが、ジャズ的なアドリブ回しや即興にこだわらず、むしろ構築性へ軸足を置いたアルバムだ。

Track listing:
1.Ets Hayyim 9:11
2.Tsive Ha-Shamayyim 5:20
3.Gil Gul 9:44
4.Dim'Ot Yisrael 5:43
5.Sippuro Shel Shed 3:06
6.Holef 8:02
7.'Otsmat 9:14
8.Bereshit 5:53

Personnel:
Jarosław Bester – Bayan(accordion)
Jarosław Tyrala – violin
Oleg Dyyak – accordion, clarinet and percussion
Wojciech Front – double bass

Vocals [Special Guest] – Grażyna Auguścik


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