Sonny Rollins 「and the Contemporary Leaders」(1958)

 改めて隠遁前、最後の公式スタジオアルバム。

 ロリンズは60年から61年の30歳前半と脂がのった時期に隠遁し、"The Bridge"(1962)に再起する。その前にスタジオで吹き込んだのが本盤。音源としては翌59年の欧州ツアー音源が残ってるようだ。

 "Saxophone Colossus"を筆頭に、矢継ぎ早の傑作アルバムを連発した充実期の56年からロリンズはじわじわとサウンドが柔らかくエッジが取れてきた。ロリンズは甘くなっていく自分がわかっていたのかもしれない。
 本盤はプレスティッジから移籍し、ワンショット的にあちこちのレーベルからリリースしてた時期の作品。本盤が出た西海岸のContemporaryは"Way Out West"(1957)ぶり。間に何枚もアルバムあるからややこしいが、時系列でいうとほんの一年前と大して時間は立っていない。

 サックス・トリオで伸び伸びとくつろいだ"Way Out West"の雰囲気をそのままに、本盤でも編成を変えつつ大らかなサックスを聴かせた。リズムもどこかモダンで穏やかなムードが漂ってる。
 58年10月の20~22日の3日間、ロスのスタジオで録音した。日程によって編成を変えたようだ。
 "Way Out West"からシェリー・マンが継続し、ピアノとギターのカルテット編成にロリンズが加わる格好を取った。一曲だけ、ヴィクター・フリードマンがビブラフォンでゲスト参加してる。
 (3)はギターとベースのトリオ編成。(7)はドラムレスの録音だ。

 軽快なバーニー・ケッセルの演奏が聴きもの。ディスコグラフィーを見る限り、録音での共演は本盤のみらしい。
 アウトテイクも2曲残っており、ぼくの手持ち音源では以下の通り。(6)と(10)が別テイク。さらに(4)のアウトテイクもあり。
 この盤だとボートラ3曲が入ってる。


 小粋さを共通点にして、演奏のテンションはまちまち。ラテン風味で伸び伸びと、軽やかにサックスを響かせる(1)や(2)から、クールな(3)や(5)、東海岸風のグルーヴな(7)や(8)、そしてアグレッシブに責める(4)や(9)。
 リズムが少しばかり甘くて、テクニック見せびらかしのスリルや、情感込めた緊張感とは別次元。どこか涼やかで爽快感が漂う。この辺が、西海岸のノリかもしれない。

 本盤は自作曲にこだわるロリンズが、珍しくスタンダードを並べてる。あまり気負わない。リーダー作の自負はあったとしても、時代を切り裂くひりひりした空気が無い。同年頭の"Freedom Suite"(1958)、夏の"and the Big Brass"(1958)でビッグバンド的なアプローチや工夫を狙う、視点の高さが本盤には見えない。

 テクニックはある。勢いも枯れてない。だからアドリブも豪放だしバッキングとの相性も悪くない。けれども、どっかボケている。何とも歯がゆい。ぼくは奏者が創作意欲を前面に出した盤が好きなので、どうしてもこういう評価になってしまう。
 逆にBGM的に聴くなら、本盤は穏やかなバラエティと炸裂しないスピード感が同居し、悪くないアルバムと思う。

Track listing:
1. "I've Told Ev'ry Little Star" (Oscar Hammerstein II, Jerome Kern) - 5:28
2. "Rock-A-Bye Your Baby with a Dixie Melody" (Sam M. Lewis, Jean Schwartz, Joe Young) - 4:55
3. "How High the Moon" (Nancy Hamilton, Morgan Lewis) - 7:45
4. "You" (Harold Adamson, Walter Donaldson) - 4:16
5. "I've Found a New Baby" (Jack Palmer, Spencer Williams) - 3:40
6. "I've Found a New Baby" [alternate take] (Palmer, Williams) - 4:25 bonus track on compact disc reissue
7. "Alone Together" (Howard Dietz, Arthur Schwartz) - 6:01
8. "In the Chapel in the Moonlight" (Billy Hill) - 6:41
9. "The Song Is You" (Hammerstein, Kern) - 5:44
10. "The Song Is You" [alternate take] (Hammerstein, Kern) - 6:11 bonus track on compact disc reissue

Personnel:
Sonny Rollins – tenor saxophone
Hampton Hawes - piano
Barney Kessel - guitar
Leroy Vinnegar - bass
Shelly Manne - drums
Victor Feldman - vibes on track 4


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