TZ 7381:Ben Goldberg Quartet "Baal: Book of Angels Volume 15"(2010)

 アルバムごとに違う編成で、第二期Masada"The Book of Angels"の316曲を演奏するシリーズ。第15弾はクラリネット奏者のクレヅマー的な生バンドの演奏だ。

 リーダーのBen GoldbergはTZADIKをはじめとして、多数のリーダー作あり。本バンドはピアノ・トリオにゴールドバーグのクラリネットが乗るスタイルだが、ベースのマサダ・オリジナルメンバーなグレッグ・コーエンをはじめとして、ジョン・ゾーン馴染みの顔触ればかり。
 リーダーシップはゴールドバーグかもしれないが、一連のゾーンによる疑似バンド的な味わいもあり。ただし本盤に参加のケニー・ウールセンとは何枚も共演作があり、親しいようだ。

 彼の馴染みなベーシストは、ゾーン人脈だとトレバー・ダンらしい。彼を混ぜたほうが、よりゴールドバーグ的なアンサンブルになったのかも。あえてコーエンを起用にて、マサダ色が強まった。
 でもコーエン、ウールセンと本盤のリズム隊とトリオ編成で、本盤の前年にTZADIKより"Speech Communication"で吹き込みあり。要はみんな、顔なじみなのかも。
 ジェイミー・サフトとはここまで共演歴が見当たらないようだが、本盤のあとTZADIK盤ではサフトのリーダー作"Borscht Belt Studies"(2011)にゴールドバーグが参加した。

 高速クラリネットの疾走と、不穏なマサダ流の旋法が噛み合って、タイトなアンサンブルを聴かせる。アップテンポだけでなく、緩やかなスピードでじっくりメロディを味わう場面も。ただしどしゃめしゃな疾走が持ち味のようではある。
 フリーに雪崩れる場面もあるが、基本はあまりトリッキーに展開しない。ジャズとしてテーマからアドリブ回しに向かう、オーソドックスなアレンジだ。

 凛と緊迫したムードと切ない情感。ある種、マサダの志向を丁寧になぞってる。ホーン二管でなく、ピアノとクラリネットがリード楽器役を行き来で、ちょっと上品に寄ったかな。クラリネットは骨太でしっかり鳴り、不安定さは皆無だ。

 本シリーズの常として、基本は本盤で初披露の新曲だ。けれども"Chachmiel"のみ、本盤の前になるVol.14で、The Dreamersの編成にて収録曲を再演した。本盤は前作より倍くらい、7分と長めの尺で演奏してる。

 演奏は隙が無く、各奏者のソロも高レベル。ばっちり安定してる。本シリーズで話題性を出す華に欠けるのが、唯一の難点か。音楽はかっこいいんだけども。

Track listing:
1.Chachmiel 7:21
2.Asimor 4:27
3.Irin 4:32
4.Pharzuph 7:18
5.Lahash 2:52
6.Reqel 7:17
7.'ifafi 5:09
8.Uzza 3:10
9.Poteh 5:56

Personnel:
Arranged By, Producer - John Zorn
Clarinet - Ben Goldberg
Bass - Greg Cohen
Drums - Kenny Wollesen
Piano - Jamie Saft

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