Abdullah Ibrahim 「Mindif」(1988)

 アフリカンなジャズをアメリカ人と、上手く描いたサントラ。

 アブドゥーラ・イブラヒム(ダラー・ブランド)が、88年にニュージャージーのルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオにて二日間で録音した。タイトルのMindifとはカメルーンの北にある唯一の山のことだそう。

 ビリー・ヒギンズやベニー・パウェルを筆頭に、セッション・ジャズメンを集めた一過性のアンサンブル。だがさすがに上手い演奏だ。オーソドックスなジャズの披露はあたりまえ。バップに留まらず、イブラヒムらしい南ア・ジャズの軽やかなムードやリズムまでも、同じメンバーで披露した。
 和音のぺなっとした響きが、70年代のイブラヒムによる素晴らしい南ア・セッションを連想させる。
 Claire Denis監督の映画"Chocolat"のサントラ。フランス映画らしい。トレイラーはこちら。


 お仕事として、イブラヒムは全曲を書き下ろした。バラエティに富んだ楽曲が楽しめ、もちろんイブラヒムのリーダー作としても充実した仕上がり。
 前述のとおり、ミュージシャンの素性はさておいても、テクニックさえあれば南ア・ジャズの雰囲気がごく滑らかに表れるってところが、面白かった。
 つまりイブラヒムは本能でなく楽想として南ア・ジャズを描けるって証明だから。再現性を意識したロジカルな素地があっての、情感が産む美しさは理知的な魅力がある。

 その一方で、ベース・ラインやホーンのアドリブ、ドラムのちょっとしたフィルにアメリカン・ジャズのスインギーさを感じる。これはイブラヒムの意識なのか、ミュージシャンの手癖か。どちらも、ありえそう。
 あえて再現やなぞりに血道を上げる必要はない。ましてや本盤はサントラ、の位置づけだ。

 けれども書くフレーズに耳を傾けると、知性と無意識の拮抗が音楽へ滲んでる気がしてならない。そのヘンテコな聴き方で、本盤に奇妙な魅力を感じる。

Track listing:
1.Earth Bird 3:03
2.African Market 8:17
3.Mindif 6:46
4.Pule (Rain) 4:52
5.Protee 4:39
6.Star Dance 4:59
7.Theme For Mark 3:26
8.Serenity (The Daybreak Song) 3:08

Personnel:
Piano, Flute, Voice - Abdullah Ibrahim
Bass - David Williams
Drums, Gambray - Billy Higgins
Flute, Tenor Saxophone - Craig HandySoprano Saxophone, Tenor Saxophone - Ricky Ford
Trombone - Benny Powell


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