Thelonious Monk 「Thelonious Monk Trio」(1954)

 ピアノ・トリオ。迷いながらも、自分の世界をぐいぐい構築していく一枚。

 オリジナルは"Thelonious Monk Trio"のタイトルで56年の発表。ブルーノートからビバップのしっぽを持ったサウンドなコンピ2枚をリリースし、プレスティッジに移籍した第一弾。ハード・バップへ邁進する時代の幕開けが、本盤となる。
 
 今から無造作に買うと、ちょっとややこしい。まず"Monk's Moods"のタイトルでPrestigeが59年に曲順を変えてLPリイシューした。このジャケでのCD再発は、ぱっとAmazonでは出てこない。ただ、このタイトルを使った別の編集盤がずらり。間違えることは無いと思うが。
   
 ボックスでも、このタイトルのものが二種類あった。
 

 さらに曲順を変えて"Thelonious Monk"OJCのCDリイシューもあり。ジャケットはいっしょ。ぼくは89年に出た、この盤で買った。だからオリジナル・シーケンスでの曲順は、ちょっと違和感ある。変な話だが。今ではAmazonでパッと上位に出てこない。
 以下ではオリジナルLPの曲順で並べてる。
 
 古い音源だから廉価版ボックスでも聴けるが、単品で買うならジャケットの絵を見定めて買ってほしい。今は+2曲のボートラあるようだ。このボートラは聴いてない。


 さて、本盤。3回行ったセッションを収録した。まず52年10月15日に、以下冒頭4曲(A1~A4)を録音。二ヶ月後の12月18日に4曲(A5, A6, B3, B4)を収録。二年後の54年9月22日にB面冒頭2曲 (B1, B2)を吹き込んだ。・・・ずいぶん、間が空いている。録って出しな、この時代にしては珍しいのではなかろうか。

 モンクのディスコグラフィーを見ると、52年秋口は本盤以外の録音は無い。空白の53年も、"Monk"(1954)の音源を録音したのみ。サイドメンの情報もパッと見つからず。ギグを繰り返してたってことか。54年は本盤とは別に、クインテットやソロの録音もあり。色々と試行錯誤な時期だったのかも。なおマイルスと共演を重ねるのは、同じ54年だが本盤のあとからだ。
http://www.jazzdisco.org/thelonious-monk/discography/

 さて、本盤。セッション・メンバーも工夫と言うか迷いが見られる。52年10月はアート・ブレイキーにGary Mappのベース。同年12月はドラムをマックス・ローチに変えた。
 54年には再びブレイキーを起用し、ベースがパーシー・ヒースに変わる。すなわち微妙に違う色合いのアンサンブルを試してる。なお、B2はピアノ・ソロ。
 
 ブレイキーもローチも、タイトなリズム。どっちかと言えば、ブレイキーのほうが武骨でローチがストレートな印象だ。
 モンクのサウンドそのものも、影がある。楽典で説明できないが印象論だと、きゅっと詰まる空気、ひねった感覚。和音に独特な閉塞感を漂わす。それが陽気に突き抜けない、寂しげな雰囲気を作った。古い録音でくすんだ音色が、よけいにそう思わせる。

 パンチあるビートで煽らせ、ピアノの独自色を強調させたかったか。逆にドラムでピアノの色を薄めたかったか。まだ本盤を聴きながら、ぼくの印象は確定しない。
 テーマがあってソロ回し、みたいな約束をなぞらぬアレンジだ。あくまで主役はピアノ、ときにサイドへスポット・ライトが当たる。

 ピアノはドラムへ追従しないタイム感を持つ。ベースがいなかったら、ばらばらになってたかも。ピアノ単独でも成立する。だが、敢えてリズムを入れたのはなぜ?
 独特の感性を持つモンクが、変な先入観や縛りにとらわれず、世界との落としどころを探ってる。そんな印象も受ける。

 プレスティッジからリバーサイドへ移籍したモンクは、ほんとうに伸び伸びと独特なノリでスイングする傑作アルバムを連発する。その前段階な本盤は、まだ少し迷いが漂った。

Track listing:
A1.Little Rootie Tootie 3:03
A2.Sweet And Loveley 3:31
A3.Bye-Ya 2:43
A4.Monk's Dream 3:02
A5.Trinkle Tinkle 2:45
A6.These Foolish Things 2:42
B1.Blue Monk 7:30
B2.Just A Gigolo 2:45
B3.Bemsha Swing 3:05
B4.Reflections 2:41

Personnel:
Piano - Thelonious Monk
Bass - Gary Mapp (tracks: A1 to A6, B3, B4), Percy Heath (tracks: B1, B2)
Drums - Art Blakey (tracks: A1 to A4, B1, B2), Max Roach (tracks: A5, A6, B3, B4
Recorded in Hackensack, NJ; October 15, 1952 (A1 to A4) and December 18, 1952 (A5, A6, B3, B4); September 22, 1954 (B1, B2).

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