The Isley Brothers 「Eternal」(2001)

 売れ線路線をきっちり守り、全米3位の大ヒットとなった28枚目のアルバム。

バンドだ。変なプライドやこだわりを持たず、いい音楽=売れることが素直に直結して、てらいやためらいなく音楽を追及する。

 そもそもロナルド・アイズリーのベルベットみたいに柔らかく甲高い声が、独特の個性を持っている。この武器が、強い。どんな楽曲でもに強烈な個性を勝手に植え付けて、アイズリー色を勝手に塗ってくれる。
 アーニー・アイズリーのギターも、そう。もとは自分のバックバンドだったジミヘンへ素直に憧れ、クリアに歪んだギターを奏でる。すっかりヘルシーな色あいで。
 超ベテラン、でも営業ライブなスタイルでもうるさ型を納得させられる。そんなパワーを持ったのが、アイズリー・ブラザーズだ。

 前作に参加のマーヴィン・アイズリーは糖尿病が悪化して脱退、二人きりのアイズリー・ブラザーズになった。前作から5年ぶり。当然、演奏は外部ミュージシャンに頼らざるを得ない。といっても当時のご時世は、打ち込みが基本になってたが。

 本盤はデヴィッド・ゲフィンらが設立のドリームワークスに移籍の第一弾。R・ケリーやジャム&ルイスなど、当時のヒット・プロデューサーをズラリ並べた。音楽コンセプトとか、新規路線みたいなのにはこだわらない。だから少しばかり大味だけど、楽曲の良ささえ達成すればクオリティは勝手に上がっていく。そんな作りが、上手いこと仕上がったアルバム。

 まとまりはいまいち。だが、たおやかな歌声に惹かれ、なんとなく説得力を持たされてしまう。
 本稿後半の参加クレジットは、Discogsからのコピー。ジャケットはCDサイズに小さい字でびっしりとクレジットが刻まれるスタイルで、読みにくいことおびただしい。

 単にあてがいぶちの曲を歌うような大人しさは無い。そもそも「らららら~」って歌った瞬間にアイズリーの世界が産まれる。
 (1)や(5)に(6)などで自作曲や、インプレッションズ"Keep on pushin'"と歌いこんだり、ベテランならではのちょっとした小技はそこかしこにあり。
 
 話題作りって意味ではシカゴの(10)をカバー。これはちょっと、白人購買層へ迎合しすぎでは、と思ったが。骨格だけ打ち込みで抜き出すようなアレンジで、甘くなり過ぎない料理具合がジャム&ルイスの手柄か。

 あとはカーティス・メイフィールドの(14)へ詞を付けた。甘くしっとりムードでアルバムはまとめておいて、最後にこういううるさ型向けの美味しいところを残すあたり、ほんとうにショー・ビジネスの酸いも甘いも噛み分けたしたたかさを感じた。

 楽曲は大まかに分けて、ラファエル・サディークが(1),(12),(13)、Steve 'Stone' Huffが(4)~(6)、ジャム&ルイスが(7)~(10)に(14)と、この二組が本アルバムの芯を支えた。
 ほかには当時のロナルドの妻で90年代アイズリー復活の立役者、アンジェラ・ウィンブッシュの(3)、のR・ケリーの(2)と、押さえもしっかり。

 (11)の Andre HarrisとVidal Davisコンビは、当時の新人かな?Jill Scottをゲストに迎え、線の細い繊細な歌いっぷりをかました楽曲は、けっこう楽しめた。

 こうしてみるとR・ケリーは話題作りで一曲ってとこか。ウィンブッシュは古女房への義理立てっぽい。

 売れ線を外さず、若手にもチャンスを与える、もしくは若い才能を吸収する抜け目のなさも、したたかなショー・ビジネスっぽい。まあ、音楽の出来が良ければ勝ちよ、この世界。

 ただしジャム&ルイスの楽曲はちょっと打ち込みビートの冷たさが先に立ち、あまりアイズリーの温かさに合わない。Steve 'Stone' Huffの楽曲は、少しぎこちない硬さあり。 他のプロデューサーも我を出しており、ウィンブッシュの馴染みぶかい世界を評価するのも、なんだか自分の耳に進歩無くて芸がない。

 改めて聴き直すと、これはって楽曲が見当たらなくて困った。メロディって意味では、タイトル曲の(9)が沁みる。しかしこれ、アイズリーっぽくは無いんだよな。

 シングル・カットはR・ケリーの(2)。キャッチーではあるが、もろ手を挙げて評価しづらい。ケリー節だし。PVはミュージカルみたいで面白かった。


 アイズリー色って意味では、(3)から(6)あたり。ウィンブッシュの手慣れた仕事から、Steve 'Stone' Huffがぼくは耳に馴染む。楽曲として、少しばかり弱いのだけど。 あと、(6)もシングルになった。ぼくはこっちのほうが良いかなあ。ちょっと迷う。


 ううむ、どうもこのアルバムは素直に聴けない。けっして耳ざわり悪くないのに。

 爺臭い懐古趣味かもしれないが。やっぱ、T-NECK時代を聴きこもう。今は、こういう派手なボックスも出てるしな。


 その後のアイズリーをたどると、本盤のあとに3枚、アルバムあり。現在の最後は07年のクリスマス・アルバム"I'll Be Home For Christmas"。ロナルドはソロを着実に発表、最新版が2013年の"This Song Is For You"となる。アーニーは、リリースって観点では目立った動きはここ数年ないようだ。
  

 ちなみにアイズリー=ジャスパー=アイズリーは、80年代のアルバム3枚をCD2枚にまとめた、ちょうどいい盤が出てた。



Track listing:
1.Move Your Body
2.Contagious
3.Warm Summer Night
4.You Deserve Better
5.Just Like This
6.Secret Lover
7.You're All I Need
8.Settle Down
9.Eternal
10.If You Leave Me Now
11.Said Enough
12.You Didn't See Me
13.Ernie's Jam
14.Think

Personnel;
1 Move Your Body
Backing Vocals - The Johnson Sisters, Raphael Saadiq
Bass - Raphael Saadiq
Co-producer - Jake & The Phatman
Drums [Programming] - Jake & The Phatman
Guitar - Ernie Isley
Percussion - Martgol Beasley
Producer - Raphael Saadiq

2 Contagious
Bass - Donnie Lyle
Guitar - Donnie Lyle
Producer - R. Kelly

3 Warm Summer Night
Co-producer - Ronald Isley
Drums [Programming] - Angela Winbush
Guitar - Ernie Isley
Keyboards - Angela Winbush
Producer - Angela Winbush
Vocals - Angela Winbush

4 You Deserve Better
Instruments - Steve 'Stone' Huff
Producer - Steve 'Stone' Huff

5 Just Like This
Guitar [Additional] - Ernie Isley
Instruments - Steve 'Stone' Huff
Producer - Steve 'Stone' Huff

6 Secret Lover
Backing Vocals - Avant (2)
Guitar [Solo] - Ernie Isley
Instruments - Steve 'Stone' Huff
Producer - Steve 'Stone' Huff

7 You're All I Need
Guitar - Ernie Isley
Instruments [Additional] - Jimmy Jam & Terry Lewis
Keyboards - Jimmy Jam
Producer - Jimmy Jam & Terry Lewis

8 Settle Down
Backing Vocals - James "Big Jim" Wright, Ronald Isley
Drums [Programming] - Alex Richbourg
Guitar - Ernie Isley
Instruments [Additional] - Jimmy Jam & Terry Lewis
Keyboards - James "Big Jim" Wright
Producer - James "Big Jim" Wright, Jimmy Jam & Terry Lewis

9 Eternal
Backing Vocals - The Johnson Sisters
Co-producer - James "Big Jim" Wright
Drums [Programming] - Alex Richbourg
Guitar - Ernie Isley
Instruments [Additional] - Jimmy Jam & Terry Lewis
Keyboards - James "Big Jim" Wright, Jimmy Jam
Percussion - Paulinho Da Costa
Producer - Jimmy Jam & Terry Lewis

10 If You Leave Me Now
Drums [Programming] - Alex Richbourg
Guitar - Ernie Isley
Instruments [Additional] - Jimmy Jam & Terry Lewis
Keyboards - James "Big Jim" Wright
Producer - Jimmy Jam & Terry Lewis

11 Said Enough
Featuring - Jill Scott
Producer - Andre Harris (2), Vidal Davis

12 You Didn't See Me
Backing Vocals - The Johnson Sisters, Raphael Saadiq
Bass - Raphael Saadiq
Co-producer - Jake & The Phatman
Drums [Programming] - Jake & The Phatman
Guitar - Raphael Saadiq
Guitar [Lead] - Ernie Isley
Keyboards - Kelvin Wooten
Producer - Raphael Saadiq

13 Ernie's Jam
Bass - Raphael Saadiq
Co-producer - Jake & The Phatman
Drums [Programming] - Jake & The Phatman
Guitar - Raphael Saadiq
Guitar [Solo] - Ernie Isley
Producer - Raphael Saadiq

14 Think
Backing Vocals - Ernie Isley, James "Big Jim" Wright
Co-producer - James "Big Jim" Wright
Guitar - Ernie Isley
Instruments [Additional] - Jimmy Jam & Terry Lewis
Keyboards - James "Big Jim" Wright
Percussion - Alex Richbourg, Paulinho Da Costa
Producer - Jimmy Jam & Terry Lewis

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