河端一 「Subjection Of Drone」(2008)

 河端の真骨頂な、エレキギターのドローン絵巻をすっきり味わえる盤。

 「じゃあこのまま、さりげなくBGMを流しといて適当なところでクロスフェイドで」ライブに入ろう、という(たぶん河端一)の喋りがイントロで始まるアルバム。ゆるやかに音楽が消え、エレキギターのソロに変わっていく。

 英Reverb Worship発売の100枚限定のCD-Rで、08年10月4日、大阪ムジカジャポニカでのライブ音源。

 冒頭からはディレイ・ループを作り、その上でアドリブを載せるスタイル。

 アルバムは約34分で1トラックの一本勝負だが、演奏は一本調子ではない。9分過ぎにいったん、ディレイ・ループは消える。今度は鈍く低い、軋みつつ伸びる音色のサウンドに変わる。ボウイングかな。
 倍音が次々響き、金属質に揺らぐ。ライブ現場では轟音だったのかもしれないが、CDだと迫力がむしろマスクされ、穏やかな迫力になる。極端にボリューム上げたら、違うう感想かもしれないけれど。

 響きはじわじわと高まる。いつしか残響がループされていた。よじるように高音が練られ、震えて漂う。スリリングできれいなひととき。ハイトーンの周辺はギザギザに崩れ、複数の音が合わさって強靭さを持った。

 このブロックは21分過ぎに、いったん一区切り。そのまま間をおかず小刻みなショート・ディレイの嵐に雪崩れた。猛烈な音の奔流が濃密に詰まり、ループによるミニマルさが高速につながる。
 どれが実際の演奏か、ループかわからない。小刻みなピッキングがディレイで繰り返され、怒涛の進行へ。音が濁らず澄んだまま、風景を変化させるコントロールっぷりも美しい。
 次第に音が残響の嵐になり、ごおっという大きなうねりに収斂していく。だが単一の響きでなく、緻密で微細な音の塊で表面はざらついたまま。

 これも29分あたりで、静かに幕を下ろす。
 最後は奥深く荘厳で厳粛な、サスティンのみを操るかのような倍音をたっぷり含んだ響き。どれが実音かわからない。さまざまな周波数が広がりを持って翼を拡大した。

 いきなり音が遮断され、唐突にエンディング。 
 34分くらいと、アルバムにしては短め。コンパクトな展開だ。


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