田畑満 「Tabata Live In Europe 2001」(2003)

 欧州ライブのサイケ・ギターなソロ即興集。

 ボアダムズの結成メンバーで、アシッド・マザーズ・テンプルなど様々なバンドで活躍するギタリストの田畑満。かれが77枚限定のCD-Rで、01年の欧州ソロ・ツアー音源をまとめた盤。レーベルのDuh Recordingsは、田畑の自主レーベルか。Discogsでは、本盤以外のリリースは無い。

 実際のライブはさておき、本盤では8~13分程度の、中尺な時間帯に抑えてコンパクトなアルバムに仕上げた。
 インプロ・ライブ盤のコンセプトとして、長尺一本勝負も聴きごたえある。当時の一夜を丸々封じ込めた音盤でも、「全音源収録」って観点でコレクター的には食指が動く。
 しかし実際のところ、現場におらず音だけだと集中力が続かぬインプロもあるため、この編集はありがたい。

 音像はどれもギターかギター・シンセの独奏で、オーバーダブは無し。けれどもループを駆使して実際は複層の音像が聴ける。
 リズミックではないが、その場のディレイ・ループが小節感を促し、うっすらとビート性あり。
 曲調は楽曲によって違う。エレクトロ中心から、歪んだギターを響かせる曲まで。場所ごと、場面ごとに色々な音楽性を披露した様子が伺われる。

 どことなく全体に暗い影をまとったムードでありながら、重たさや激しさに籠らない。轟音勢い一発って力任せでもない。どこか穏やかなユーモアや余裕を感じる。
 メロディやフレーズ、曲構成を意識せず、思うままの音列が膨らむ一過性の即興コンセプトであるのだが。
 曲によっては唐突に曲中で場面転換ある。あまりに素早い音変換だが、中途はつまむテープ編集もありかな。

 ノイズではない。アート的なコンセプト志向でもない。楽器に向かい合い、あまり構えず拘らず。素直に興の赴くまま音楽を紡いだ。
 ライブを繰り返した地力を踏まえて、たんなる垂れ流しには終わらない。その凄みは、こういうシンプルな演奏でこそ表出する。

 いがいとシンセ寄りの野太い音色が目立ち、エレキギターの歪みを求めると拍子抜け。ピアノ音色が続く場面もある。むしろ混沌な電子音楽として聴きたい。
 いわゆるDATのオーディエンス録音にあたる音質で、音のエッジは少々甘い。それもご愛敬。

Track listing:
1.Live@Extrapool. Nijmegen, Holland 04 Dec 2001 8:12
2.Live@Worm. Rotterdam, Holland 05 Dec 2001 11:56
3.Live@Les Instants Chavires. Paris, France 10 Dec 2001 13:18
4.Live@Reithalle. Bern, Switzerland 12 Dec 2001 13:07
5.Live@Usine. Geneve, Switzerland 13 Dec 2001 9:16

Personnel:
田畑満;guitar & guitar synthesizer solo improvisation. no overdub. recorded by KT at Sony portable DAT player.
Limited to 77 hand-numbered copies.

 なお、彼の貴重なロング・インタビューはこちら。
http://www.dommune.com/ele-king/features/interview/001369/

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