Larry Young 「Testifying」(1960)

 バンド全体の押し引きがばっちり。ぐいぐいと演奏がドライブする。

 ラリー・ヤングがプレスティジに吹き込んだ初リーダー作。オルガン奏者でジミー・スミスが活躍は50年代後半から。既にジャズ界でオルガンの認知度は上がっていたろう。そこでどう、個性を出すかが勝負。ラリーはどんな道を選んだのか。
 
 まず本稿で、その答えは無い。個性をどう探すか、の観点で聴いた感想を書いてみる。
 作曲面ではどうだろう7曲中、最初の曲はラリーのオリジナル。先制パンチで自らの個性をアピールの作戦か。ブルージーで、ちょっと気だるげでユーモラス。そんな寛いだ雰囲気の曲となった。

 しかし他の6曲にラリーのクレジットは無い。3曲はスタンダード、1曲はJ.J.ジョンソンの曲。あと2曲は本盤参加のジョー・ホリデイと、ギター奏者のショーネル・シュウォーツの作品だ。ジョーは2曲しか参加無いにも関わらず、自曲を取り上げてもらってる。ずいぶん気前のいい話だ。リーダー作だから、徹底的にラリーの我を通す道もあったろうに。アンサンブルを、バンド仲間を優先させる、ラリーは気のいい男だったのかな。
 実際このあとのプレスティッジ盤では、ドラム、ギターともメンバーは固定してる。

 演奏面はどうだろう。少なくともテクニックをひけらかすような、速いパッセージは少ない。けっして指が動かないわけではなさそう。そこそこ速いフレーズやファンキーに盛り上げる音使いは溢れてる。オルガンの音色を曲途中でも変化させ、メリハリもつけた。
 Wikiによればラリーはオルガン界でモーダルなアプローチを取り入れた先駆者らしい。ぼくの耳だと、その辺まで楽理的な聴き分けはできてない。

 選曲のコンセプチュアルさや、小難しい理念先行でもなさそう。グルーヴィーなノリを持続させつつ、メリハリはきっちり。バラエティに富んだアルバムになってる。
 ライブ演奏での賑やかさは予想できる。要は本盤、ステージのレパートリーをそのまま録音したのかもしれない。
 
 実際、とにかくアンサンブルがこなれてる。ギターもドラムも刻みに留まらず、ところどここでちょこっとオカズやカウンターを入れてくる。派手にでなく、たまに、がポイント。うるさすぎず、単調にもならない絶妙な間だ。
 
 やはり当時のライブ・シーンを知らないと、こういう盤の真骨頂はつかめない。どういうキャパで、どういう客層で、どういう環境のハコで演奏してたか。たぶんだけど、酒を飲ませるバーみたいなとこで演奏じゃないかな。けっしてホールの演奏じゃなさそう。
 観客の気持ちをスリリングに疾走させるより、邪魔にならずさりげなく盛り上げる。かといってBGMに堕す大人しさもない。そんな微妙な立ち位置を、本盤を聴いて想像した。
 音楽目当てじゃない。しかし酒飲んでたらいつの間にか、演奏してる音楽へ夢中になってた。そんな感じ。

 ライブ演奏は一過性のもの。だが、かけがえのない宝石が産まれてる。そんな瞬間を封じ込めたような、ごきげんな盤だ。

 なお後年、彼はマイルスの"ビッチェズ・ブルー"やトニー・ウィリアムズ・ライフタイム、ジョン・マクラフリンのアルバムに参加する。

Track listing:
1. "Testifying" - 9:52
2. "When I Grow Too Old to Dream" (Oscar Hammerstein II, Sigmund Romberg) - 5:153. "Exercise for Chihuahuas" (Joe Holiday) - 7:34
4. "Falling in Love With Love" (Lorenz Hart, Richard Rodgers) - 5:04
5. "Some Thorny Blues" - 6:20
6. "Wee Dot" (J. J. Johnson) - 7:04
7. "Flamingo" (Edmund Anderson, Ted Grouya) - 5:23

Personnel:
Larry Young - organ
Joe Holiday - tenor saxophone (tracks 3 & 7)
Thornel Schwartz - guitar
Jimmie Smith - drums

Recorded at August 2, 1960

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