She's Just A Baby (1981)【Prince未発表曲】

 10年越しで温め、結局は没になったキュートな曲。

 もとは81年頃の録音とされる。そのせいか、ファルセットに留まらず地声を使うアプローチもサビで聴ける。ファルセットから地声まで幅広いレンジを使ったメロディだ。演奏はプリンスのみかもしれないが、バンド的な落ち着きもあるアンサンブル。
 ところどころでボーカルを重ねたアレンジが、切なくスリリングな雰囲気を加速させる。

 たんたんと鍵盤を4つ打ちするアレンジは、デモゆえかもしれない。しかし"Purple rain"あたりで連発するスタイルを連想させて、何ともかっこいい。
 Prince Vaultによれば91年、"Diamonds And Pearls"の頃に再録したという。今、上に貼ったバージョンがどちらかはわからない。なんとなく、81年の録音っぽい。すごく整ったところと、エレキギターのちょっとしたオブリは、81年にしては整いすぎだが。

 楽曲のアレンジは飾りすぎない。ドラムの大人しいビート、ふわっと柔らかく単純な鍵盤。だけど幾層にも重ねられたボーカルの厚みと和音感、場面ごとに重ね方を変えるハーモニーの工夫で、楽曲に魅力をぐいぐい付与させる。

 この流出音源は、凄まじく音が悪い。それが残念。ちゃんとした音質で聴いたら、エコー感はどんなだろう。この音源では、しょぼくてドライなのか、そもそも残響を削ぎ落したのか、今一つ区別付かない。

 メロウでシンプルで、素朴。爆売れ前の時代と、そぎ落としを図った"Diamonds And Pearls"の時代は少しばかり共通点を感じる。

関連記事

コメント

非公開コメント