Derek And Ruins

M3行ってCD買ってきたものの。なんかこの盤を聴きたくなった。

今夜のBGM;Derek And Ruins"Tohjinbo"(1998)
TZADIK盤"Saisoro"(94年9月録音)に続き、97年4月にロンドンで録音された、デレク・ベイリーとルインズのデュオが"Tohjinbo"。インディのParatactileレーベルから発売された。なおルインズの頂点を築いた、佐々木恒(b)の時代の作品だ。

録音物で残ってる共演盤は、これら2枚のはず。
ブートだと(今は落とせないが)"Tohjinbo"録音前日のライブ音源もあり。BBC音源らしい。ぼくは聴いたことない。

デレク・ベイリーは注意深くフレーズを弾き外すイメージだったが、"Tohjinbo"ではけっこうルインズと、気持ちよく疾走している。佐々木がシンセっぽい音色や高音フレーズをまぜて派手に弾くため、ルインズ対ベイリーの構図で無く、三つ巴の印象を受ける。

この盤を初めて(たぶん98年頃に)聴いたとき、非常に馴染みづらかった。メロディ要素が皆無のとっつき悪さに加えて、即興の聴き方が分からない。何となく盛り上がってるが、構成や焦点をつかめず、ずいぶん戸惑った気がする。

ひさしぶりに本盤を聴きかえすと、非常にわかりやすい。パンキッシュな勢いあり。
ディストーションをガシガシ決めて高音をかきむしるベイリーは、かなり吉田達也のビート感に寄り添った。フレーズでなく、ノリの意味で。ここでのベイリーは、かなり音を歪ませて音を叩きつける。

パターンや小節感を希薄に叩きまくる吉田がボイスを入れると、時にもう一つの声が応える。ミックスの位置だと、ベイリーの声かな。
直線的に上下するベイリーのフレーズへ、吉田が硬質に叩きのめす乱打で応える。拍を跨ぐより、拍の幅を自在に操作するかのよう。リズムを吉田が倍テンや半分に、ときどきBPMを伸縮するさまが、すごくかっこいい。

ベイリーが譜割を変えても、なんとなく吉田のフィルへノリが重なるさまが楽しかった。ベイリーの演奏へ吉田が追いかけて変奏するイメージもあり。
拍頭が読みづらい割に、吉田のアクセントが何となく小節感を作った。

そしてこの怪物二人と真っ向から切り結ぶ、佐々木の演奏力が素晴らしい。ある意味、ギターとドラム、シンプルな響きを相手に佐々木はベースで襲い掛かる。エフェクトを駆使しつつ。リフとフレーズを使い分け、飽きさせない。
ミックスの加減で、ベースが非常に聴こえづらい。惜しい。

全12曲入り。5~7分の短い曲に区切り、メリハリつけている。だがスタート&ストップや場面展開が多い即興のため、流してるとさらに曲数が多そうな誤解も。
疾走一辺倒でなく、緩やかに探るインプロもある。

率直なところ、TZADIK盤"Saisoro"は緊迫した印象が強い。ルインズの挑発にベイリーが高みから見下ろすかのよう。その一方で、"Tohjinbo"では妙に寛いでホットだ。ベイリーがルインズに寄り添っている。
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