of Montreal 「Cherry Peel」(1997)

 甘酸っぱくローファイで、とっ散らかったサイケ・ポップ。

 オブ・モントリオールが8月に日本ツアーを行う。http://amass.jp/74999/
「まだ活動してたんだ・・・」ってのが、正直なところ。調べたら今年、14枚目のアルバム"Innocence Reaches "を出す。地道に活動してたんだ。

 エレファント6は、ちょっと世代的に微妙。あと10年早かったら、ずっぽりハマってたと思う。ちょうど仕事が忙しい時期にがエレファント6一派の全盛期。もちろんレコ屋で何枚も聴いたが、網羅したり調べるほどの時間は取れなかった。
 あと、ライブハウス通いにのめりこみ始めた時期で、海外のバンドは聴ききれてなかった。
 ソフト・ロック系列で手作り感あふれるサウンド、多数の人的交流が活発なバンド活動、そしてひねって凝ったバンド名たち。ハマる要素はいろんな点であった。

 ソフト・ロックで唯一、引っかかるのは根本のところでプロの仕事ってところ。予算の規模が大小こそあれ、きっちり作曲とアレンジされて演奏のクオリティは保証されてるバンドがほとんど。売らんかな、ってところ。別に産業構造として間違ってはいないが、青臭い学生時代は「商売っ気とは別の、もっとピュアに音楽と向かい合ったのも聴きたい・・」と思ってた。この歳になると、どうでもよくなるけれど。

 そんなアマチュアイズムの価値観だと、エレファント6勢ってのはちょうどよかった。ジョージア州アセンズの片田舎で、趣味人たちが身の丈にあいつつ、凝ったポップスを作り上げてるって意味で。

 話がそれた。ということで、エレファント6には興味あったけど、ごく表面を撫でただけ。オブ・モントリオールも、以下のディスコグラフィのうち1st~3rdしか聴いてない。
 深い理由は、無い。ちょうど00年代はライブハウス通いしてて、レコ屋へ行く時間が物理的になっただけだ。惜しいことした、とは思わない。でも、聴いても良かったな、とは思う。
 ふとYoutubeを「of Montreal full」で検索したら、出るわ出るわ。ライブのフルセットにあわせ、各種のアルバム音源もずらり。この機会に聴いてみるかね。

[Discography]
1997 Cherry Peel (Bar/None)
1998 The Bedside Drama: A Petite Tragedy (Kindercore)
1999 The Gay Parade (Bar/None)
2001 Coquelicot Asleep in the Poppies: A Variety of Whimsical Verse (Kindercore)
2002 Aldhils Arboretum (Kindercore)
2004 Satanic Panic in the Attic (Polyvinyl)
2005 The Sunlandic Twins (Polyvinyl)
2007 Hissing Fauna, Are You the Destroyer? (Polyvinyl, No. 72 US)
2008 Skeletal Lamping (Polyvinyl, No. 38 US)
2010 False Priest (Polyvinyl, No. 34 US)
2012 Paralytic Stalks (Polyvinyl No. 121 US)
2013 Lousy With Sylvianbriar (Polyvinyl, No. 115 US)
2015 Aureate Gloom (Polyvinyl)
2016 Innocence Reaches (Polyvinyl)

 さて、本盤。1stアルバムにあたる。エレファント6ってのをキーワードに、買ったと思う。久しぶりに聴き返したが、素朴なサイケ・ポップだ。しかし構造は凝ってて投げっぱなし。アイディアが赴くまま、次々に断片が繋ぎ合わされ放り出される。
 ぼくの愛しのGuided by Voicesと違い、BB5に通じる分厚いハーモニーなど、レコーディング自体は丁寧にダビングが重ねられた。

 リズミック、ではない。ドラムはアンサンブルの一つであり、あまり派手にビートを刻まない。内省的なサウンドだ。宅録で積み重ねるかのような。しかし実際は、ライブも活発にやるだけの自力もあったんだ。誤解してたな、彼らを。

 録音は微妙にこもっており、手作り感が伝わる。
 Wikiによるとメンバーはトリオ編成。しかし、そんな薄い音じゃない。さぞかし多重録音を重ねたろう・・・と思いきや。ただしシンセやホーンで豪華なアレンジを目指すのとも違う。サウンドの厚みはあるし、コーラスも多重録音だけど、アンサンブルはギターとベース、ドラムで上手いこと作ってる。

 素朴だがバンド・サウンドを外してない。これが本1stでの最大の特徴だ。60年代ポップス直系の甘酸っぱさと、ガレージ・サイケな荒っぽさ。これらをスッキリと、しかしねっちり練ったアレンジで整え、なおかつ構築性に留まらず放り出してる。
 相反する要素が入り組み、不思議に親しみやすく取っつきづらい混沌さを生み出した。うーん、ひさびさに聴くと、リアルタイムな当時とぼくの価値観がいくつか変わってて面白いな。

Track listing:
1."Everything Disappears When You Come Around" 2:33
2."Baby" 2:31
3."I Can't Stop Your Memory" 3:25
4."When You're Loved Like You Are" 2:33
5."Don't Ask Me to Explain" 2:46
6."In Dreams I Dance with You" 2:05
7."Sleeping in the Beetle Bug" 2:18
8."Tim I Wish You Were Born a Girl" 1:46
9."Montreal" 2:30
10."This Feeling (Derek's Theme)" 2:42
11."I Was Watching Your Eyes" 1:51
12."Springtime Is the Season" 2:13
13."At Night Trees Aren't Sleeping" 1:49
14."You've Got a Gift" 4:50

Credits:
Derek Almstead - drums, vocals
Bryan Poole - bass, guitar, vocals
Kevin Barnes - guitar, vocals

 2012年のライブ映像。これ見ると、トッド・ラングレンみたいな荒っぽいロックさとひねくれたポップ性が相まって面白い。


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