口立ての迫力

「つかこうへい正伝 1968-1982」長谷川康夫:著(新潮社:2015)を読む。べらぼうに面白かった。

 単行本だと550ページ越えの大部。だが電子書籍で読んだため、軽やかにi-phoneで通勤中にさくさく読めた。重たい本でも軽々と持ち運べる。ありがたや。
 
 ぼくがつかこうへいを知ったのは、たぶん80年代の中ごろ。「腹黒日記」を図書館で手に取り、置いてあった野生時代の連載をパラパラ読んだ中学生くらいのはず。そのあとに映画"熱海殺人事件"(1986)が封切られたころかな。
 つまり完全に後追い。つかこうへい全盛期の芝居は全く見たことが無い。ぼくの世代は夢の遊眠社や第三舞台が盛り上がってた頃だ。
 だがつかの伝説にはすごく興味あった。そのわりに、90年代の舞台もみなかったけれど。

 本書は非常に興味深く読んだ。けっしてつかを賛美しない。気分屋で"利にさとく"、したたかで無邪気。本書は劇団『つかこうへい事務所』が解散するところで終わっている。
 ところがビデオなどで追体験ができない。時代と言えば、それまでだが。つか芝居はとにかくぎゅう詰めが基本だったらしい。そして本書の最後に、とても象徴的なアクシデントに触れて幕を下ろす。

 並んで、詰め込まれて、現場にいる。最初から最後まで参加して、一体感を味わえたことが、つかの全盛期の特徴だったのかもしれない。今、並ぶって行為に現場性の意味が若干でもあるのって、コミケぐらいか。
 ぼくの世代はプレイガイドに並ぶってのも意味があったけど、それよりぴあへ電話だった。
 今はネット抽選だもんな。肉体的な苦労が結果へストレートに結びつかない。ああ世知辛い。

 話がそれた。つかこうへい、だ。つかは口立てで芝居を作ってた。映像ないかなあ、と検索したら後年の場面ではあるものの、片鱗を伺えるシーンがこの動画の冒頭で見られる。
 どんどん芝居へ入れこんで、セリフをつぎつぎ吐き出していくつかの姿が痛快だ。


 77年「戦争で死ねなかったお父さんのために」の音声履歴。

 
 "熱海殺人事件"の冒頭やエンディングのシーン、どんなタイミングだったんだろう。見てみたかった。
 Elvis Presley "Let It Be Me"


おまけ"飛龍伝'90-殺戮の秋-"1/5

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