Maze Featuring Frankie Beverly 「Maze Featuring Frankie Beverly」(1977)

 粗削りながらタイトでじわっと来るファンキーさを滲ませた。

 音楽を語るとは、どういうことか。聴いて気持ちいい、だけではだめか。具体的にどう心地よいかを論じるべきか。なぜ心地よいかの原因を考えるのか。同時代の流行や世相を論じ、グループの歴史や人間関係、過去との連携や新規性、さらには後年への影響度合いまで考えなければ・・・。
 音楽そのものの構造や楽典に演奏のテクニックやニュアンス、もちろん歌詞世界も欠かせないが・・・きりがない。気持ちいい、だけではだめか。

 改めてメイズを聴いていて、しみじみ思った。フランキー・ベヴァリーの方向性や歴史を語るのに、マーヴィン・ゲイは欠かせない。16ビートを巧みに使い、白人的な洗練性を追求しながらも、どっぷり滲むファンキーさ。

 緩やかなタイトさが生み出す、強靭なグルーヴの特異性は、メイズならではないか。しかし、同時代や彼ら以前のサウンドを十分に論じるだけの知識は無い。
 
 メイズの1stである本盤は、ライブのじんわりと盛り上がるノリそのものをタイトに封じ込めたように聴こえてならない。楽曲のキャッチーさでラジオのエアプレイを稼ぐには、なんとも構造が鷹揚だ。
 だが当時のアメリカのラジオがどんな流行か、よくわからない。そもそもどんな客層狙いだったろう。ティーンか。ある程度大人の、クラブみたいなとこでの演奏なのか。

 激しくダンスさせるようには思えない。だがレストランのBGMに終わるような音楽では全くない。

 アメリカでは今でもアリーナ・クラスの動員を誇るメイズだが、この当時はどのくらい評価されてたんだろう。
 聴いてて、ほっこり気持ちいい。しかし詳しく分析には、あまりに自分の知識不足を痛感する。

 ちなみにメイズは恐ろしく、アルバムの粒がそろってる。駄作が無い。アルバムごとの違いは・・・これまた的確に表現するすべがない。特に"Can't Stop the Love"(1985)までは、どれもバンドとして生演奏のダイナミズムを存分に培った、強靭な演奏を聴かせる。
 16ビートの細かなリズムと、ぱりんと張ったエレキギターのオブリやカッティング。
 本盤でこそ若干の荒さが特にハイハットにあるけれど。それでも演奏は危なげなく突き進む。コンガのおかずがリズムに幅と厚みを出してる。

 タイトな16ビートで突き進む曲のほうが、メイズの本領発揮って感じがする。でも(2)みたいに穏やかなムードも良い。これも16ビートか。
 ギターの味わいがアレンジに深みを出してるけれど、鍵盤の穏やかなフレージングもグルーヴのしとやかさに大きな役割を果たしてる。見事なアレンジと、アンサンブルだ。
 
 滑らかなフランキーの歌唱は、時に荒々しく唸る。だけど破綻せず丁寧に紡がれる。かっちり整った演奏と歌唱、恐ろしくコントロールされていながら、ほっこりした温かさを持つ。それがメイズの凄いところ。

 メロウな旋律はすべて、フランキーの作曲。この1stから迷いも試行錯誤も無く、きっちりとアルバムに仕上げてる。
 この完成度合いは何なんだ。

 聴いてて気持ちいい、だけではだめか。隙が無く破綻も無く、そして作りこまれた無機質さもない。生々しい演奏と歌が、整った世界で美しく花開いた。
 完璧主義、なんだろう。そして息苦しさが皆無。柔らかく開き、包み込む。バランス感覚が素晴らしい。

 うーん、やっぱりうまく語れない。気持ちいい、のは確か。芸の無い感想だが。
 
Track listing:
1. "Time Is on My Side" 5:19
2. "Happy Feelin's" 7:10
3. "Color Blind" 3:22
4. "Lady of Magic" 4:45
5. "While I'm Alone" 4:35
6. "You" 8:24
7. "Look at California" 9:27

Personnel:
Producer, Composed By, Lead Vocals, Rhythm Guitar - Frankie Beverly
Bass - Robin Duhe
Congas, Vocals - Ronald Lowry
Drums - Joe Provost
Keyboards - Sam Porter
Lead Guitar - Wayne Thomas
Percussion, Vocals - McKinley "Bug" Williams



関連記事

コメント

非公開コメント