An American In Paris (1989)【Prince未発表曲】

 粘っこいビートを軽やかなムードに昇華したファンク。ギターのカッティングも見事だ。

 流出音源の音質はいまいちだが、ドラムとベースが打ち込みでギター・カッティングのバッキングだけだろうか。幾層にもボーカルが重ねられた。プリンスの多重コーラスで、主旋律をある時は太く飾り、ある時は掛け合いのように広がる。

 ファルセットまで使う多彩な音域のハーモニーで華やかさを出しつつ、フレーズ終わりなどでカッティングを軽やかに閃かせた。"Kiss"(1986)の味を漂わす。歌詞に"Welcome 2 the dawn"と聴こえる。もしそうなら、けっこう早くからこのフレーズを思いついてたんだ。
 中盤ではフロウしないジャストなリズムだが、ラップ風の場面も挿入された。

 もともとは1951年同名ミュージカルにインスパイアされたのでは、とのうわさもある。この楽曲がいろんな要素と大勢の人が歌うように聴こえる展開なのもあり、いかにもありそうな説に聴こえる。
 コーラスには当時のプリンスのエンジニア、Michael KoppelmanとTom Garneauも加わってるらしい。

 特になにかのアルバム・プロジェクトを意識なく録音、そのまま発展せずお蔵入りの曲という。
 あんがい軽みのある曲なので、このままプリンス流のミュージカルって展開も面白かったのでは。本盤録音と推測の89年は"Graffiti Bridge"(1990)の直前だったし。

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