SKETCH SHOW 「LOOPHOLE」(2003)

 デジタル・ノイズを軽やかにビートへ混ぜた。しかもメロウさを滲ませる。

 細野晴臣と高橋幸宏のユニット、スケッチショウの2ndフル・アルバム。
 アルバム全体を通し、ずっしりした低音を敢えて希薄にして、小刻みな電子ノイズのレイヤーでビート感を作った。素晴らしい。
  
 流行が一回りしたのか、中古盤がえっらく安い。

 1stに続き坂本龍一が(1)と(6)の2曲で参加。YMOの色を三人とも気負わず共演し、特に(6)でのミニマルな切迫感と、"増殖"や"東風"を連想させる乾いたエレクトロ・ヴォイスの浮遊が堪らなくかっこいい。


 基本は細野と高橋の共作。沖縄のロックバンドHIGH and MIGHTY COLORのMegがどういう脈絡か作曲でクレジットされており、(5)と(8)が高橋とMeg、(12)が細野とMegの共作となっている。(1)と(6)は坂本も加わった三人の共作名義。
 (2)と(11)のコーネリアス・ミックスは、同年2月に発表のEP"Tronika"の再録らしい。(5)はPVまであるようだ。


 本盤発売当時、03年のライブ映像もついでに貼っておこう。
 

 電気仕掛けの乾いたサウンドが中心ながら、(2)や(11)でアコギのサンプリングを混ぜたりと幅広い世界観を魅せる。両方とも"Tronika"収録だから、その盤のコンセプトかな。"Tronika"は未聴だが、今度聴いてみよう。
 (7)も"Tronika"収録曲。今回、リミックスされた。ペタッとメカニカルな細野と高橋の歌声が徹底的に電子加工され、滑らかで硬質に滑るさまが素敵だ。

 歌ものでのボーカルはピッチをぐっと上げ、か細く甲高い響きで柔らかさを表現した。(4)での畳みかけるハーモニーは、ダブ風の危うさも演出した。
 リズムは根本的にミニマル。小粒なプチプチと鳴るビートが、不思議なセンチメンタリズムを誘う。

 エレクトロの軽やかさを前面に出し、不思議に暖かく漂う空間を作った。基本トーンは併せつつアルバムの中で、実はメリハリがいっぱい。この多彩な手練手管が二人の才能を物語っている。
 歌ものでは幸宏らしいかっちりしたリズムな(8)も惹かれる。インストと歌ものがちょうどいいバランスの構成だ。うーん、したたか。意外に地味な印象なのに、聴きこんでたら非常に凝ってることに気が付いた。

Track listing:
1. MARS (マーシュ)
2. WIPER (ワイパー)
3. CHRONOGRAPH (クロノグラフ)
4. PLANKTON (プランクトン)
5. FLAKES (フレイクス)
6. ATTENTION TOKYO (アテンション・トーキョー)
7. NIGHT TALKER - SAFETY SCISSORS MIX - (ナイト・トーカー - セーフティ・シザース・ミックス -)
8. TRAUM 6.6 (トラウム6.6)
9. SCOTOMA (スコトーマ)
10. FLY ME TO THE RIVER (フライ・ミー・トゥ・ザ・リヴァー)
11. EKOT - CORNELIUS MIX - (ィエコー - コーネリアス・ミックス -)
12. STELLA (ステラ)

Personnel:
Performer - 細野晴臣と高橋幸宏
Instruments - 坂本龍一 (tracks: 1, 6)

Remix - 小山田圭吾 (tracks: 11)
Euphonium - 権藤知彦 (tracks: 11)
Voice [Swedish Voice] - Chiho Shibaoka (tracks: 1 to 3, 6, 11)

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