Elton John 「Goodbye Yellow Brick Road」(1973)

 冴えわたってた時期のエルトン・ジョンがたっぷりアイディア詰め込んだ2枚組。

 この盤は2枚組なのと、(1)の壮大でプログレ的なインストが暑苦しくて、なかなか手が伸びないんだけど・・・。
 総収録時間は76分。CD1枚。一曲くらい落としたら、今のアルバム1枚なボリュームになってしまう。時代を経て、アルバムの時間軸が以下に変わってきたかって話だ。

 上り調子でぐいぐい行ってた時期のエルトン。一つの頂点がここだと思う。なまじ大作な本盤が受け入れられ、完成したがゆえに本盤の後はちょっと大味になった感が否めない。いろんな意味で、キャリアの一つの頂点を示した盤だ。

 69年に正式なデビュー、4年間で6枚のアルバムを作って本盤が7th。どれだけの創作力だ。71年1月に"ピアニストを撃つな!"を発表、同年10月と半年強で、これだけのボリュームを作り上げた。
 この時期のエルトンは、とにかくメロディがみずみずしい。ピアノ一発、コンボのシンプルな編成でも十二分に盛り上がれるのだが・・・本盤では分厚いハーモニーを強調し、オーケストラもしっかり。ドラマティックな曲構成とあいまって、とても飾り立てたイメージを、ひときわ感じた。

 収録は名曲ぞろい。もちろん僕は本盤、88年くらいにさかのぼって聴いた。アグレッシブなロックンロールで1stシングルの"Saturday Night's Alright For Fighting"が、特に好き。ラジオで流れたのを聴いたんだっけな。きっかけは覚えてない。
 あとはセンチメンタルで雄大な"Candle In The Wind"も、後年にダイアナ妃の追悼で歌われ、特に印象に残ってる。
 
 "Bennie and the Jets"も良いけど、芝居っぽい疑似ライブ風のアレンジが過剰な気がする。シンプルなアレンジで良いのに。ほんの少しテープ速度を上げたような声の"Goodbye Yellow Brick Road"も、ハーモニーの美しさは間違いない。だけどなんて言うんだろう、溌剌さを犠牲にしてる気が。贅沢な印象なのはわかってるけれど。

 エルトンのピアノは、音が滴るよう。決してテクニックひけらかしではない。ホンキートンクっぽいアタックの強さと、メロディを補完する絶妙なバランスの音数だ。
 それが気心知れたバンド・サウンドと強固なオーケストレーションに支えられ、どこにも隙が無い。

 そう、本盤は緻密に作られたように聴こえる。実際は1~2テイクで次々にベーシックが録音らしい。歌も同録かな?あとかぶせかな。この当時のレコーディング・スタイルがよくわからない。
 (7)ではリズム・ボックスを入れ、ラテン風味に賑やかさを足した。アレンジャーにDel Newmanのクレジットあるが、エルトンは当時にどこまでサウンドへ関与だろう。どうしても僕はエルトンって、作曲と歌に専念して演奏やアレンジは周辺のスタッフと上手く協力したってイメージが抜けない。

 ともあれ本盤はA面だけでおなか一杯。他の収録曲までなかなか耳が届かないけれど。今回聴き返して、色々と記憶がよみがえってきた。

 (6)の華やかな鍵盤と吹きすさぶ風のようなスピード感にウキウキしてたな、そういえば。畳みかける鍵盤のアルペジオと、コンガも加わり勇ましく打ち鳴らすバンドのビートがきまってる。
 びよんと歪む音色に時代を感じるが、(12)もパンチあるアンサンブル。余り古びず、今でも心弾ませ聴ける。サビ前でぐっと落とし、メリハリつけたとこが気に入ってたっけ。

 終盤のミドル・テンポの切ない(15)は、当時のエルトンの魅力が滲む。こういうさりげなく語り掛ける歌い方が、抜群だ。
 厳かに、そして膨らむ(17)もメロディと、ダビングのハーモニーが気持ちいい。この曲はミックスが面白く、いきなりアコギが前に出たりハーモニーがストリングスとなぞったり、音色が重なる妙味が味わえる。強気一辺倒でなく、低音やハミングを混ぜるコーラス・アレンジが、ボリューム上げるとなおさら味わい深い。

 今回は(9)が沁みた。エコーを増やした音像で、ブラスなどもダビングあるけれど、基本はピアノ中心の3ピース・コンボ。サビで甘く流れ、アコーディオンやクラリネットが上品に飾る。
 アレンジは分厚く丁寧だけど、奥に透けるシンプルな楽曲の構造がいいなって思った。

 この当時のエルトンの歌声は高音の処理も上手い。ひょいっと息を抜き気味でひねるとこにグッと来た。イギリスのメロディだが、アメリカ的なピアノ・マンな雰囲気がたまらない。
 76年のライブ映像がYoutubeにあった。まさに、ピアノ弾き語りの演奏だ。でも、高音をひねる歌い方は、スタジオ盤にはかなわないぞ。


 今ならこの盤は、2014年の40周年盤を買うべきだろう。ライブ音源入りの2枚組と、さらに盤を増やした5枚組の二種類あり。購買層がおっさん狙いだな。いいけどさ。

 

Track listing:
1. Funeral For A Friend [Love Lies Bleeding]
2. Candle In The Wind
3. Bennie And The Jets
4. Goodbye Yellow Brick Road
5. This Song Has No Title
6. Grey Seal
7. Jamaica Jerk-Off
8. I've Seen That Movie Too
9. Sweet Painted Lady
10. The Ballad Of Danny Bailey [1909-34]
11. Dirty Little Girl
12. All The Girls Love Alice
13. Your Sister Can't Twist [But She Can Rock 'n Roll]
14. Saturday Night's Alright For Fighting
15. Roy Rogers
16. Social Disease
17. Harmony

All songs written by Elton John and Bernie Taupin except "Funeral for a Friend" written by Elton John.

Musicians
Elton John - vocals, piano (1-6, 8-10, 12-17), electric piano (5, 6), organ (3, 7), Farfisa organ (5, 13), mellotron (5, 6, 11), Leslie piano (11)

Dee Murray - bass
Davey Johnstone - acoustic, electric, Leslie, slide and steel guitars, banjo
Nigel Olsson - drums, congas, tambourine
Ray Cooper - tambourine

Dee Murray, Davey Johnstone, Nigel Olsson - backing vocals (1, 2, 4, 10, 13, 17)
Del Newman - orchestral arrangement (4, 8-10, 15, 17)
Leroy Gómez - saxophone solo on "Social Disease"
David Hentschel - ARP synthesizer (1, 12)
Kiki Dee - backing vocals on "All the Girls Love Alice"

Producer: Gus Dudgeon
Engineer: David Hentschel
Orchestra contractor: David Katz
Arranger: Del Newman


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