Dance With The Devil (1989)【Prince未発表曲】

 単調で厳かながら、親しみも漂うスロー・ファンク。

 "Batman"(1989)のアウトテイク。物語でジョーカーのセリフにかけた曲だそう。
 打ち込みメインのビートで、ちょっとツヤのあるデジタル・シンセの音色や、ときおり挿入される早回しテープの効果やコラージュめいた構成に、"Batman"との共通性を感じた。
 4分半過ぎから始まる、サビでラップ風に地を這う主旋律と、コーラスで高い音程が平行に進む場面がかっこいい。直後のマリンバ風音色の高速フレーズは、80年代プリンスらしい丸みあり。"When doves cry"も連想する。

 どちらかといえば疑似的に"癖のある曲"。本当に情感を絞り押し広げたわけでなく、フィクションかつデフォルメされた、かっこつけな不穏さ。冒頭の鍵盤やサックスの伴奏をまとった厳かな雰囲気も、架空のキャラクターをさらに強調するようなワザとらしさが漂う。
 8分もの長尺だが、あんがいスイッと聴かせてしまうアレンジの妙味はさすが。ワンコード・ファンクっぽく単調でほとんど展開もないのに、上物がたまに変化したりミニマルなビートへ耳を傾けてるうちに、終わってしまう。
 
 ファン気質でポップ寄りを隠さず作った"Batman"の中で、確かにこの曲は座りが悪い。妙に長いし淡々とし過ぎでメリハリに欠ける。ボツったのはわからないでもない。
 終盤の早回しな女性コーラスは、グレゴリア聖歌のサンプルだそう。

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