Sonny Rollins 「Don't Stop the Carnival」(1978)

 立ち位置を探りロリンズってブランドを懸命に披露する、当時の様子が伺えるライブだ。

 サウンドにスリルは残念ながら、無い。
 前半の演奏はフュージョンに頼らずオーソドックスなジャズを狙う。ただしエレべやエレキギター、鍵盤も時にエレキと完全なアコースティック路線ではない。この中途半端さが、時代かもしれない。
 しかもアルバム後半で、バードが出てくると一気にサウンドがフュージョン寄りになってしまう。

 74年からボブ・クランショーを敢えて起用せず、さまざまなミュージシャンとセッションを重ね、フュージョンとの立ち位置を模索してたころ。なお、クランショーとの再共演は"No Problem"(1981)まで飛ぶ。

 ロリンズは意外にライブ盤が少ない気がする。本盤は"The Cutting Edge"(1974)ぶりのライブ盤。ツアーは地道に続けてると思うのに。
 ここでは78年にサンフランシスコのホールで4月13-15日の3daysから抽出された。クレジット上は2ホーンだが、実質はロリンズの1管クインテット。ドナルド・バードはゲスト的に、4曲のみに参加した。
 本盤は全10曲、ただし1トラックはメンバー紹介アナウンスなため、実質9曲。その約半分にバードが加わる格好だ。どれか一日、ゲストで出たのかも。

 サイドメンは格上ゲスト的にトニー・ウィリアムズがクレジット。あとの3人は当時のツアー・メンバーかな。ピアノとベースは本盤以外にも、この後に何枚も共演がある。
 特にウィリアムズは我を張る演奏をせず、リズム・キープに徹した。バトルを期待したら拍子抜け、強くプッシュするドラムの持ち味は味わえる。

 タイトル曲(1)は"What's New?"(1962)で初披露した、カリプソ風味のオリジナル曲。後年はライブのクライマックスで演奏っぽいが、ここではA面トップに置いてきっちり目立たせた。

 (2)は若干ドタバタするリズムに引っ掛け、いくぶんおずおずとテナーが鳴る。ドラムと対話形式でじっくり決めた後、ピアノやベースが加わりモダンにジャズが展開した。 しゃくるリズムの合間に、派手にシンバルを鳴らすドラムが力強く煽る。ドラムがかきまわすけれど、ここではオーソドックスなアレンジだ。

 ここまで主役はあくまでロリンズ。(3)では無伴奏でテナーを吹きまくり、フレーズの合間に歓声が飛ぶ。とことん引っ張って、4分過ぎからリズム隊がムーディに加わる。 全然関係ないが、この曲ってスタンダードだが、川下直弘がライブで吹いてる曲かなあ。

 (4)はジャズ・ロック風のフュージョン路線。ロリンズのスタイルだけがほぼ変わらず、バッキングだけが変わっていく。50年代至上主義者ではないつもりだが、この手のファンク路線はいまひとつロリンズに馴染まない。いまひとつB級臭さが漂ってしまう。
 ロリンズのそれなりなサックスを聴くもよし、ウィリアムズの刻みを聴くもよし。
 だが手なりにちょっと音を歪ませ弾くエレキギターのソロを聴いても、今一つ盛り上がらない。Mark Soskinのエレピはけっこう滑らかで気持ちいいが。

 メンバー紹介を挟んでバードの登場。以降、かなりの比率でバードが美味しいところを持っていく。急に鍵盤もきらきらと穏やかなフュージョン・スタイルに変わり、サウンドが一気に変わった。選曲も(8)と(9)はバードの曲だ。
 ライブとしてゲストで現れたバードを立てた、構成なのだろう。しかしロリンズ名義のアルバムって観点だと、どうにもバランス悪い。ロリンズの影薄い存在感の低下が何とも切ない。

 (10)はアンコールのかっこうか。ほんのりブルージーなノリでムトゥーメの曲をカバーした。"Rebirth Cycle"(1977)に収録、流行りの曲ってことか。こういう選曲も、なんだかなあ。
 いちおう豪放なサックスも聴けはするけれど。ロリンズに似合ってるかは別。サックスの色や耳ざわりをブランドとして提示しつつ、箱やガワを変えてなんとか時代と折り合いをつけようと苦労してるように聴こえてしまう。

 アルバムとしてバードとロリンズの饗宴をあおりにしたかったのかも。けれどあくまでバード風のトラックの上でロリンズが吹いてるだけ、に留まる。あまり鮮烈さが無い。

Track listing;
All compositions by Sonny Rollins except as indicated
1. "Don't Stop the Carnival" (Traditional) - 8:46
2. "Silver City" - 8:08
3. "Autumn Nocturne" (Kim Gannon, Josef Myrow) - 6:36
4. "Camel" - 4:14
5. "Introducing the Performers" - 1:01
6. "Nobody Else But Me" - (Oscar Hammerstein II, Jerome Kern) - 6:57
7. "Non-Cents" - Toney 9:25
8. "A Child's Prayer" (Donald Byrd) - 8:05
9. "President Hayes" (Byrd) - 9:49
10. "Sais" (James Mtume) - 7:55

Recorded at the Great American Music Hall, San Francisco, CA, April 13, 14 & 15, 1978

Personnel:
Sonny Rollins - tenor saxophone, soprano saxophone
Mark Soskin - piano, electric piano
Aurell Ray - electric guitar
Jerome Harris - electric bass
Tony Williams - drums
Donald Byrd - trumpet, flugelhorn (tracks 5-9)

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