V.A.  「Musik in Deutschland 1950-2000 Vol. 27」(2001)

 ドイツの近代音楽を紹介するCDシリーズの第27弾。小難しくなく、聴きやすい。

 本盤はセピア色のジャケットと、ドイツ音楽ってことから、ナチスが"堕落"だと、当時に禁止してた「頽廃芸術」を、改めてリリースのシリーズかとずっと誤解してた。
 もっとシンプルに、ドイツ近代音楽ってくくりのコンセプトみたい。別に現代音楽や前衛にこだわらず、単純に20世紀の音楽を集めたようだ。

 本シリーズの全貌はよくわからない。公式っぽいWebのここでは全122枚の表記だが、本盤のブックレットには全150枚の記載あり。さらにAmazonみると、Vol.164まであったりする。いずれにせよ廃盤らしく、どれも結構なプレミアついている。10年くらい前は、ユニオンのクラシック館で普通に並んでた気がするけれど。なお、僕が聴いたことあるのは本盤とVol.59だけ。


 さて、本盤。5人の作曲家の作品を収録した。オーケストラ曲集のようだ。ブックレットの記載はすべてドイツ語、全く歯が立たず。
 本盤の副題は「1950-1980 Tradition und Aufbruch(伝統と出発)」。
 『Angewandte music(適用された音楽)』シリーズの「Erziehung zur music(音楽のための教育)」における一枚らしい。・・・うん、何が何だかわからない。
 
Track listing:
1-5  ; Harald Genzmer(1909) Devertimento di danza(1953)
6-16 : Kurt Schwaen(1909) Konig Midas(1958)
17-21: Paul Dessau(1984-1979) Rummelplatz(1965)
22  : Tilo Medek(1940) Die Betrunkenes Sonne (1968)
23-28 : Hans Werner Henze(1926) Sechs Stuke fur junge Pianisten aus der Kinderoper,,Pollicino''(1979-80)
 ウムラウトの出し方がわからず、英語アルファベット表記はご容赦を。作曲家の横にあるのが成年で、曲名の横が作曲年度か。

1-5  ; Harald Genzmer(1909) Devertimento di danza(1953)

 ディヴェルティメントと言うくらいだから、特に脈絡なく5曲が並ぶ。全体的に古めかしいロマンティックさだ。録音は96年。その割に抜けが悪く歴史的音楽っぽい響き。
 もったいぶらぬが重厚さを持った構造で、ベートーベンの影響を連想する。(5)での弦が揃ってまとわりつくような小刻みに揺れるメロディがきれいだ。
 ハラルド・ゲンツマーはヒンデミットに師事し、若いときはブレスラウ歌劇場で働き、第二次世界大戦中はクラリネット奏者で軍属したとある。07年に没。

6-16 : Kurt Schwaen(1909) Konig Midas(ミダス王)(1958)
 標題音楽のようだ。58年の録音。ちょっと古めかしい。全10曲だが一曲は1分足らずからせいぜい3分弱と短く、全部通して18分弱。子供のコーラスが全面に振りまかれ、舞台作品のようだ。歌いっぱなしでなく、語りも多い。
 主役はあくまでコーラス、音楽は一歩下がった立ち位置。子供なりの拙さはあるけれど、きちんと制御されたきれいな響きを聴かせる。 
 クルト・シュヴァーエンは反ファシズム学生運動に参加、第二次大戦中は拘束されたとWikiにある。晩年はライプツィヒの子ども音楽劇場の監督も務めてる。07年に没。

17-21: Paul Dessau(1984-1979) Rummelplatz(1965)
 これも子供のコーラスが入る。72年の録音。ピアノやアコーディオンにドラムセット、ベースみたいな編成な音楽の響きだ。完全無伴奏の語りと、拍手。ライブ録音だろうか。 子供だましではないけれど、どこか幼い。もしかしたら演奏自身も子供たち?ドイツ語の朗読が全くイメージわかない。全体的には、かなりシンプル。
 パウル・デッサウは1920年代にディズニーの映画音楽なども担当した。後年はドイツに戻り、教職に就く。ベルリン芸術アカデミーの副議長を晩年は務めたとある。

22  : Tilo Medek(1940) Die Betrunkenes Sonne (1968)
 69年の録音。これも男の朗読が冒頭に入った。これも劇伴かな。標題を翻訳かけると"酔日"と出た。なんだこれは。
 とはいえ音楽は全く添え物でなく、きっちりオーケストラがなってる。一丸と鳴っており、複雑さは無い。場面がころころ変わる。20分一本勝負。途中で鮮やかに盛り上がるなど、メリハリはあり。現代音楽の難しさは無く、あくまで聴きやすさを心得た楽曲のため、それほど退屈せずに聴ける。
 朗読の男性はあくまでも喉を強く張った。酔っぱらいの演技には思えず。オペラでもなく、あくまで朗読と音楽、の対比だ。 
 ティロ・メデクもアカデミックな教育を受けた。子供たちへの曲も作ったらしい。

23-28 : Hans Werner Henze(1926) Sechs Stuke fur junge Pianisten aus der Kinderoper,,Pollicino''(1979-80)
 録音時期はクレジット無し。ピアノの独奏だ。少し幻想的な面持ちで、和音も硬質に響く。ぐっと現代的な立ち位置だが、不協和音や鋭い実験性は無い。浮遊性を持つ、緩やかな楽曲で、ある種、唐突な音運びの構造は心地よい緊張感を漂わせた。
 副題は「子供のためのオペラ"Pollicino"から、若いピアニストへの6曲」といった意味らしい。1分半から4分ほどの小品が並ぶ。本盤の中で、最も楽しめた作品。
 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェは12年に没。初期は十二音技法など前衛にも興味を示し、後年は無調や古典音楽との融合を目指したらしい。

 大なり小なり、子供たちへの音楽教育を意識した作品集ってことか。最後のピアノ曲集のためだけでも、聴く価値あり。


 

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