G. Love & Special Sauce 「Yeah, It's That Easy」(1997)

 非常にポップな楽曲が詰まった傑作。しかしバンドの存在意義は相当に怪しい。最後にぎりぎり、踏みとどまった感あり。この後はどんどん、バンドはG.Loveの伴奏と化していく。



 前作から2年後に発表の本作は、外部の血を大幅に入れた。そのためかスペシャル・ソースとしてのアイデンティティが非常に希薄になっている。リズム感がブレる独特の乾いたドラムや、太いベースは聴ける。その一方で、単なるサウンドの味付けになりかけている。
 G.Loveの歌い方が整理され、譜割が整ってるのが拍車をかける。ドラムのバタつきが生み出すグルーヴ感がスポイルされてるかのよう。すなわち異物感がもつ奇形的な魅力が、単なるヘンテコになりかけてる。

 サウンド全体はヒップホップを要素の一つとして、ぐっとポップなメロディをなぞる形と混ぜ合わせた。聴きやすい一枚ではあるが、1stの鋭さや危うさが消えかけている。2ndでのライブ感は消えた。隅々までスタジオで作りこんだ感じ。もはやカントリーとヒップホップを消化して、磨かれたサウンドになっている。きれいに収まりすぎてる。
 だが、聴きやすい。そしてかっこいい。彼らのアルバムでも、最も薦めやすく僕は大好きな一枚だ。だが今回、過去作から聴き返すと、本盤でG. Love & Special SauceからG. Loveの存在感のみが突出してしまった。

 楽曲の過半数はG.Loveのセルフ・プロデュース。その楽曲群でほぼすべてにて共同名義のクレジットあるのが、彼らの1stをプロデュースしたStiff Johnson。担当曲はtracks: 1, 4, 5, 6, 7, 12, 13だ。
 (11)はJonny Jamsがプロデュース。彼の詳細は不明。
 なお他の3曲をプロデュースしたAll Fellas Band (tracks: 2, 3, 10)も、今一つ正体がつかめない。バンドと名乗る割に、自らの名義の盤やライブ音源も見当たらず。本盤に3曲を提供し、かなり音楽的な貢献が高いのだが。
 G.Loveとの、このライブ映像を見ると、ベースとドラムとラッパーの白人トリオだが・・・。

 ゲストではDr. Johnの名が目を引くが、それほど前面に出ていない。どの楽曲に参加かも不明。ずいぶん贅沢な使い方だ。

 アルバムは、どたすかしたリズムとマイクリレー的なボーカルの乾いてスピーディな掛け合いが、上手いことまとまった。そして後年、サーフ・ロックとしてもてはやされる寛ぎの萌芽が現れている。

 レイドバックした寛ぎ曲の象徴が(12)。9分もの長尺で、伸び伸びと穏やかな世界観を産んだ。冒頭の噛み合わないリズムの演奏が謎だが。リフレインがひたすら繰り返され、しっとりと時間が過ぎていく。ギター・ソロなどのインプロで盛り上げるジャム・バンドとは、雰囲気こそ似てるがアプローチが違う。あくまでG.Loveの存在感で曲を支えた。

 この盤は思い入れが強いだけに、いろんなところが気になる。そして聴くほどによく出来つつ、バンドの構成美がスレスレだと思う。All Fellas Bandの曲演奏を3曲も入れて、G.Loveはどこへ向かいたかったのだろう。

 本盤からは(1)と(2)の2曲がシングル・カットされた。(2)のPVはこちら。ヒップホップ色を色濃く出しつつ、キャッチーな歌ものの要素もきっちり出す。双方の魅力を上手いこと混ぜ合わせた。なおこれも、All Fellas Bandの作曲だ。

 (1)のシングルはカップリングのレア曲として、97年にカリフォルニアでライブ音源で"This Ain't Livin'"と"Tonight's The Night"の二曲が収録あり。
 (2)では"Maxin' And Delayin'"なる曲収録あるシングルあるようだが、こちらは未聴で詳しいことは不明。

Track listing:
All tracks written by G. Love except as noted.
1. "Stepping Stones" - 4:24
2. "I-76" (All Fellas Band) - 3:46
3. "Lay Down the Law" (All Fellas Band) - 5:37
Dedicated to Greg Burgess
4. "Slipped Away (The Ballad of Lauretha Vaird)" (G. Love, C. Treece) - 4:47
5. "You Shall See" - 4:15
6. "Take You There" - 3:11
7. "Willow Tree" - 3:27
8. "Yeah, It's That Easy" (G. Love, J. Clemens) - 5:37
9. "Recipe" - 3:36
10. "200 Years" (All Fellas Band) - 2:33
11. "Making Amends" (G. Love, J. Clemens) - 4:17
12. "Pull the Wool" - 9:23
13. "When We Meet Again" - 4:49

Personnel:
G. Love - Guitar, Harmonica, Vocals
Jeff "The Houseman" Clemens - Drums, vocals
Jimmy "Jazz" Prescott - acoustic Bass

Dr. John - Hammond organ, piano
King Kane - Bass, backing vocals
Katman - bass, lead vocals
Jony V - drums
Chuck Treece - drums
Smiles - vocals
BroDeeva - backing vocals
Mary Harris - backing vocals
All Fellas Band - backing vocals, percussion
Mike Tyler - backing vocals
Jay Davidson - Piano

Producer - All Fellas Band (tracks: 2, 3, 10), G. Love (tracks: 1, 4 to 9, 11, 12, 13), Jonny Jams (tracks: 11), Stiff Johnson (tracks: 1, 4, 5, 6, 7, 12, 13)

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