TZ 7106:Mystic Fugu Orchestra "Zohar"(1995)

 マニア向なジョン・ゾーンとヤマタカ・アイの道楽音楽。


 本盤はゾーンとアイが変名を使い、ユダヤの古代音楽に触発されて作った盤。帯にしか二人のクレジットは無く、ライナーにはラビの変名のみ記載あり。写真も別人の老人を使用しており、帯が捨てられた盤のみを手に取った人には、謎なCDになってしまう。

 全編にわたりSP盤を模した針音がかぶされており、音楽よりノイズが目立つ。そもそもSP盤って、そういうものらしいが。
 ゾーンがハルモニウム、アイがつぶやくようなヴォイスをところどころで載せる。たぶんすべて即興だろう。

 音楽的な展開は簡素で、クリアな音質でも単調だったろう。あくまでシャレで古代音楽を模した作品を発表したくなったのでは。リリースの自由を持つ、自主レーベルならではの盤だ。

 初版の帯やTZADIK WEBの解説には「廉価盤」と記載あるが、今は$16の値付で他の盤と差異は無い。しかも解説文にしかジョン・ゾーンとヤマタカ・アイに言及がなく、TZADIKのサイト検索でも、普通にヤマタカ・アイで検索しても出てこない仕組み。

 今のTZADIK Webは紹介文も変更されている。なんでも13世紀の作家でユダヤ教のラビであるモーシェ・デ・レオンの著作"ゾーハル(光輝の書)"を意識して、古代音楽が新たに発見されたていで作ったとある。

 "ゾーハル"はトーラー(五書)の註解書でカバラの基本文献とある。モーシェもゾーハルもWikiに記述あり、詳しくはそちらを。
 なおTZADIK Webではモーシェを14世紀の作家とあるが生没が1250-1305年だから、主戦場は13世紀ではなかろうか。

 ライナーにゲルショム・ショーレムの文章が引用あるのも、その流れか。かれはユダヤ神秘主義であるカバラの権威者だそう。彼は20世紀に活動したイスラエルの思想家という。

 音楽としては「発見された」って演出のノイズが前面に出ており、かなり聴く人を選ぶ。"Radical Jewish Culture"のブランドでリリースしたうえ、最終曲のアイによるユダヤ教の説教風喋りも敢えて日本人にやらせるあたり、ゾーンもシャレがきつい。そのへんはあくまでもミュージシャンの実力優先ってことか。

Track listing
1. "Alef" – 0:40
2. "Book Of Splendors" – 3:48
3. "Frog Doina" – 2:02
4. "The Dybbuk" – 2:28
5. "2000 Years" – 0:59
6. "Goniff Dance" – 2:17
7. "Rav Nova" – 7:44
8. "Zayin" – 3:37

Personnel:
Rav Tzizit (John Zorn) – harmonium
Rav Yechida (Yamataka Eye) – voice

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