G. Love & Special Sauce 「Coast to Coast Motel」(1995)

 ライブ感を生かし、よりバンド的なサウンドを追求の2nd。

 ブルーズやカントリーをヒップホップと融合したG. Love & Special Sauceの2ndは1stから約1年半後に発表。プロデューサーをStiff Johnsonから変えた。Jim Dickinsonをメイン、数曲をKeith Kellerにして。
 1stではとっ散らかったミクスチャーっぷりと、雑に見えて緻密かつトリッキーなアンサンブルを聴かせたけれど。本盤ではぐっとライブ感を増し、バンドの一体感を演出した。
 
 やたら硬質でタイトなドラミングとぐいぐいうねるウッドベースに、シャープなギターとときおりのブルーズハープ。スタジオ作ならではのひしゃげた細工や工夫はそこかしこにあるけれど、前作のようにサンプリングとスタジオ操作めいた仕掛けは控えた。
 (9)ではホーン隊を入れて分厚い響きを作るけど。あとは基本的に3ピース。例えば(4)で鍵盤が加わっても、どうにも遠慮深い。
 むしろステージでの様子を切り取ったような、より生々しいG. Love & Special Sauceの味わいを生かした。実際の録音手法は不明だが、一発録りぽい箇所もそこかしこにある。

 譜割が小節から零れるヒップホップ的なボーカルは続いてるが、本盤では前作よりいくぶん歌心を増したと思う。ラフに吐き捨てるような耳ざわりはそのままに、ぐっとメロディアスさに寄った。ブルーズやカントリーなど、ルーツ・ミュージックに近しいアプローチと思う。
 とはいえ一方で、のちにジャック・ジョンソンと近づいたG. Love & Special Sauceは、サーフ・ミュージックの文脈でも語られる。この当時から、そういうバカンス的なレイド・バックさも聴かれてたのだろうか。アメリカでの立ち位置は、今一つわからない。

 ホーン隊が加わった(9)も、サウンドはディキシー。最新鋭やめかしたてたゴージャスさではなく、古めかしさと飾りっ気のない骨太さが彼らの路線だ。
 だがいわゆるスタジアムを盛り上げる凄みとは逆。へたっと薄っぺらく、気軽な味わいが全編を覆う。

 本盤は全般的に、むしろ地味。一曲一曲の出来は練られてるし、ブルーズ最高って単純な価値観に頼らず、ヒップホップをよりどころにリズムや譜割の工夫を感じる。ざらついた音色も、曲ごとに微妙に変化させて鈍色だがバラエティさを狙った。エンジニア的な実験があれこれあり。
 けれど、華は確かにない。ファン向け、かな。

 G. Love & Special Sauceは本作発表後に、いったん解散してしまう。それぞれのソロ活動を経て、二年後の97年には傑作アルバム"Yeah, It's That Easy"(1997)リリースに至るのだが。

 本盤からのシングルは(4)と(1)。特にヒットはしなかったみたい。(1)のカップリング曲の委細は不明だが、(4)はシングル・テイクの短いものと、多分アルバム未収録な"Riversong"のライブ・テイクを収録。シングルを買わせる希少性作りは意識してたみたい。
 1stからのシングル"Blues Music"のみに収録の"Lila"を、日本盤にはボートラで入れているようだ。
https://www.discogs.com/ja/G-Love-Special-Sauce-Kiss-And-Tell/master/616444

 


 なお彼らは観客のライブ録音にも寛容で、IEにいくつも音源あり。本盤発表の95年も5公演が聴ける。断片的なものがほとんどだが。ライブごとにセットリストは変えてたっぽい。
https://archive.org/details/G.LoveandSpecialSauce?and[]=year%3A%221995%22

 24曲が聴ける1995-10-27のライブが一番長い録音かな。1st&2ndの曲に交じり、カバーか未音源化かは不明だが、知らない曲もふんだんに演奏してる。もとは "Hold the Mayo"のタイトルで流通したブートの音源とある。それをIEに丸ごとアップのようだ。
https://archive.org/details/glove1995-10-27.shnf

Track listing:All songs by G. Love, except as noted
1. "Sweet Sugar Mama" (G. Love, J. Clemens, J. Prescott) – 4:05
2. "Leaving the City" – 3:40
3. "Nancy" (G. Love, J. Clemens, J. Prescott) – 3:21
4. "Kiss and Tell" – 3:14
5. "Chains #3" (G. Love, J. Clemens, J. Prescott) – 2:58
6. "Sometimes" – 4:23
7. "Everybody" – 3:40
8. "Soda Pop" (G. Love, J. Clemens) – 3:49
9. "Bye Bye Baby" – 4:39
10. "Tomorrow Night" – 4:55
11. "Small Fish" (G. Love, J. Clemens, J. Prescott) – 5:21
12. "Coming Home" – 4:35

Personnel:
 G. Love & Special Sauce
G. Love – Guitar, Harmonica, Vocals
Jeffrey "Thunderhouse" Clemens – Drums, background vocals
Jimi "Jazz" Prescott – Double Bass

Producer – G. Love & Special Sauce, Jim Dickinson (tracks: 1 to 7, 9, 10), Keith Keller (tracks: 8, 11, 12)

Rebirth Brass Band – Horns
Jim Dickinson – Piano (Electric), Producer
BroDeeva – Background Vocals
Keith Keller – Producer, Mixing


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