Sonny Rollins 「Our Man In Jazz/On The Outside」(1963)

 フリーへ行こうとも、あくまでロリンズ節。模索中の一枚。後年の編集版だ。

 ロリンズはドン・チェリーと組んで62年にNYのヴィレッジ・ゲイトで4daysライブを敢行した。何度目かの隠遁から復活し、モダン・ジャズ時代から脱却を狙い、新たなロリンズ像を模索した。たぶん当時に確かな勢力を持ったフリー・ジャズとの親和性を図ったのが本盤でのセッションと思う。
 結局はどこまで行ってもロリンズは自分の殻を破れない。フリーでの奔放なブロウよりは、気の向くまま吹くことが唯一無比の音楽を提示できる、と自らの天才性に気づいてロリンズ自身をブランド化する世界に向かったと思うが。

 で、本盤。ちょっと、ややこしい。
 そもそもは"Our Man In Jazz"が存在する。ヴィレッジ・ゲイトのライブ音源から3曲をピックアップして、LPは63年にリリース。一曲が長いため、3曲で充分LPになる。
 さらに1990年に本盤へ2曲を加え、原盤RCA-VictorのサブレーベルBluebirdから発売が、本盤"On The Outside"。ただし付け加えたのはヴィレッジ・ゲイト音源でない。
 翌年64年に"3 in Jazz"のタイトルでGary Burton / Sonny Rollins / Clark Terry のコンピ盤として収録した63年2月20日の録音だ。
 

 だが、"On The Outside"に収録は2曲だった。"3 in Jazz"では3曲収録にもかかわらず。収録時間の問題だが。それを同時発売のCDボートラとして残り一曲も入れたのが本盤。当時はCD化加速のため、同発でもCDのみ収録曲増ってパターンも一杯あった。

 整理すると"Our Man In Jazz"+"3 in Jazz"のロリンズ音源の全部が、本盤ってこと。 ということで、結果的にはCDだとコンピまで追っかけずに済むお得な盤になってる。

 なおそもそもな4daysの全貌は断片的な発掘を経て、2015年に6枚組Box"Complete Live At The Village Gate 1962"でまとめてリイシューされた。このBoxの感想はこちら、などに書いた。長いので日付/セッションごとにエントリーを分けてる。
http://tel1400.blog.fc2.com/blog-entry-679.html
 
 音楽に戻ろう。"Our Man In Jazz"の収録日は以下の通り。
 (1):2日目、1st set
 (2):2日目、1st set
 (3):初日、set不明
 それぞれLP化で編集が施されてる。まだ差異はきっちり聴きこめておらず、またいずれ。カットされた時間は(1)が約10分、(2)が約1分、(3)が約1分と(1)以外はごくわずかなハサミのようだ。

 というのも本盤は演奏が今一つ上滑りしてる。特にBoxを先に聴いたため、なおさら。うわずり気味に音が流れ、暴れ馬を制御しきれていない。
 ただし。本盤のシーケンスで聴いてみたら、すこし印象が良くなった。頼りないピッチのトランペットや、無造作すぎるロリンズのテナーは変わらないし、やたら手数多い二人のリズムのとっ散らかった、全般的に冗長なプレイだが。

 LPシーケンスだといくぶん、音像が締まって聴こえる。ミックスや編集の妙味というより、単にライブの状況そのままなBoxよりも、単独の商品としてLPを仕上げようとしてたためと思う。この盤の濃密さなら、聴けるな。先に"Our Man In Jazz"を聴いてから、Boxへ行ったほうが良かった。

 さて、あとはボートラの3曲、ベースが盟友クランショーでなくヘンリー・グライムズに変わった。フリージャズ界隈の視点からだと、より燃えるメンバー編成になる。
 もっとも楽曲の印象はフリーってほどじゃない。むしろグライムズは手堅くファンキーなベースをぴしりと決めた。スタンダード3曲を数分でまとめる、かっちりしたアレンジなのも功を奏した。
 フリージャズとは違うが、音使いが奇矯に跳ねたシンプルなジャズ。テーマをぴしぴし決めるホーン二管の響きも雑じゃない。どれか一曲選ぶなら(2)かな。
 
 これはグライムズの手柄でなく、短く曲がまとまってるだけ。ライブで模索は仕方ないとしても、もう少し小気味よくまとめたセッションならば、当時の演奏もだいぶ評価が変わってたろう。
 なにはともあれ、歴史の一ページを楽しもう。

Personnel:
Tenor Saxophone - Sonny Rollins
Trumpet - Don Cherry
Bass - Bob Cranshaw (tracks: 1 to 3), Henry Grimes (tracks: 4 to 6)
Drums - Billy Higgins

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