飯島真理 「Uncompromising Innocence」(2005)

 英国風味へ接近。内省的だが幻想的な情感を込めた、力のこもった一枚。

 20枚目のオリジナル・アルバム。タイトルは「妥協なき純真」とでも訳すのか。
 自主製作の発売だが、日本ではSPACE SHOWER MUSICからも流通した。

 鍵盤やシンセにパーカス、録音までほとんどを自分で行うパーソナルな作り。LAの開放的な明るさから離れ、ぐっと影のある雰囲気がアルバムを包む。そう、彼女が弾き語りでカバーするケイト・ブッシュの世界観に似て。

 しかし完全に自己完結ではない。ゲストは元ジャパンのミック・カーン。(4)などでのプレイが、それかな。他に前からの人脈である、ジョン・メイヤーのバンドからDavid LaBruyere、Michael Chavesが参加。他にSam Websterがドラムでクレジットあるが、この人は経歴が不明。

 シンセ中心の打ち込みビートだが、時に弦風の分厚い音色を混ぜたり、生楽器のダイナミズムを溶かしたり。アレンジはさりげなく凝っており、飽きさせない。ゴシック風味のリバーブに包まれた情感を、ドライにしかしたっぷり滲ませた。

 歌詞は(10)以外は英語。断片的に(1)でも日本語がちりばめられるが、欧州人がオリエンタル味を狙って日本語を取り入れたような違和感あるアプローチが面白い。
 日本語なまりの英語だが、子音やちょっとした音の響きが妙にキュートに聴こえた。
 
 テンポはミドルが中心か。ふわっと漂う譜割を、乾いたオケが優雅に受け止める。本盤では残響の沈んで消えるさまが美しい。
 その一方で、エコー成分をほとんど消して生々しい響きを生かした(5)を入れてくるあたり、アルバム全体の構成も練られてる。

 (6)で上下降する和音進行など、凝った作曲のさまも健在。ジョン・メイヤーがらみのミュージシャンの味わいを生かしたか、影響受けたイギリスのバンド名を羅列する曲(7)では、カントリー風味も足した。トラッド的、と言うべきか。
 
 アルバムを通して聴くと、声を張る曲が少なめ。ぐっと伸びる歌が魅力の一つだが、本盤は敢えて抑えてるようだ。だから(8)のようなピアノ弾き語りで歌い上げる曲が引き立つ。

 最後の(10)で日本語歌詞を持ってきたのは、ファンサービスだろうか。この曲だけエレピの柔らかな響きと、センチメンタルなメロディ・ラインで、少しアルバムの中で浮く。ただし、日本語の発音を少しぎこちなくして、異邦人っぽさを演出してる気もした。 中盤からバンド・サウンドに変わって、英語中心の歌詞に持っていく。

Track Listing:
1. The Most Beautiful Thing
2. Broken Computer
3. Swim
4. Anticipation
5. Loves Goes Around The World
6. December
7. Fly Back To The U.K.
8. 'Cause I Know
9. Crush
10. Forbidden Rain

Musicians:
飯島真理 (Keyboards,Synthesizer Programming,Bass, Percussion)
David LaBruyere (Bass)
Michael Chaves (Guitar)
Mick Karn (Bass)
Sam Webster (Drums)

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