Secret, Profane & Sugarcane

久々に聴きかえしたら良かった、という日記です。
コステロの"King of America"(1986)を聴いた流れで"Secret, Profane & Sugarcane"(2009)も聴きかえした。

ぶっちゃけコステロは00年代から、聴きこんでない。"Painted From Memory"(1998)のあとグラモフォンに移籍し企画アルバムを多発するさまに、少々醒めた。
ほんとに熱中したのは"King of America"から"The Juliet Letters"(1993)の頃かも。
とはいえコステロは今も、気になるミュージシャンの一人で変わらないが。

"Secret, Profane & Sugarcane"は発売当時に買ったものの「カントリー回帰のアルバムね」って決めつけていた。あんまりブルーグラスやカントリーって興味無いし、ぼく。
今回、コステロWiki見ながら聴いてたら、色々想像を巡らせられて楽しい。

実際に本盤って、コステロはあまり入れ込まずリラックスした録音ではなかろうか。
08年の3月末、ざくっと三日間で本盤は録音された。発売まで一年以上、寝かしてたことになる。
ナッシュヴィルへ行き、馴染のTボーン・バーネットのプロデュースで、The Nashville Bluegrass Band のメンバーを軸に、アメリカのブルーグラス・ミュージシャンと録音した。

発売まで5年寝かした"Kojak Variety"(1995)のように、気楽なセッションではないか。
だから録音に時間かけず、没曲や過去のレパートリーを連発している。

(1)と(3)は07年のライブ、(7)は99年で発表済の旧曲。(2)、(5)はセルフカバーだ。
(6)、(8)、(9)、(11)は06年頃、未完に終わった自作オペラ"The Secret Songs"用の曲。(10)は06年に映画"All The King's Men"用に書いてボツった曲。
(12)は05年にジョニー・キャッシュの自伝映画"Walk The Line"用に書いたが、ボツった曲。アルバム最後の(13)はビング・クロスビーのカバーだ。

ボートラの"Femme Fatale"はルー・リードのカバーで、"What Lewis Did Last"はトラッド曲。自作の"Dirty Rotten Shame"は94年のライブで演奏履歴がある。
つまり新曲は(4)だけ、みたい。

しかし本盤は寄せ集めの感じは薄い。コステロのライブ・ブート追いかけるマニアなら違う感想かもしれないが。ブルーグラスにアレンジが統一されてるせいだろう。

もともとコステロは歌がすっかり味わい深い。ざらついた響きをしみじみ歌い上げるのはお手の物。"King of America"での溌剌さは控えめだが、英国バラッドをほんのり漂わせ、がっつりブルーグラスで寛いだコステロが味わえる。

演奏はウッドベースが心地良い。シンプルなフレーズで、ずっしりとサウンドを支えた。録音そのものも凝っている。イヤフォンで通勤中に聴いてたら、コーラスや楽器編成の厚みあるアレンジにしびれた。決してセッション一発の録音じゃない。

先鋭ではない。むしろ懐古趣味。でも立ち止まってはいない。こういう演奏が沁みて聴こえてくるあたり、ぼく自身も歳を取ったということか。
(9)での階段状に盛り上がる、切ないメロディが良いなあ。

"Almost Blue"(1981)を筆頭に、コステロは煮詰まると米カントリーに行く。コステロに取って疑似的なルーツ音楽なのか。そして、しゃっきりしたら暴れはじめる。
もっともこの後のコステロは、老成してカントリー世界から完全に足抜けしてないが。

本盤の翌年、またTボーンをプロデューサーに"National Ransom"(2010)をドロップ。本盤のカントリー風味にロック色を塗りたくり、キャッチーさを狙ったアルバムに仕上げた。この間のツアーで演奏した曲群を詰め込んだ格好だ。

そしてヒップホップのThe Rootsとコラボした"Wise Up Ghost"(2013)につなげ、はっちゃける。DJミックス風のアレンジだが、耳ざわりはがっつりアメリカンだ。
昨年はディランの変則プロジェクト"Lost On The River: The New Basement Tapes"(2014)を発表。ディランの歌詞だが、メロディはどこまでもコステロ節で面白かった。

今のコステロはツアー中。ソロ編成で気ままに演奏しまくっている。今週末にアメリカでライブを数本、5月末から8月まで英米ツアーが発表済だ。米ツアーはスティーリー・ダンのツアーに帯同のかっこう。スタジオ録音はそのあとか。
コステロはどんな音楽をやったしても、聴いてみたい。このままバリバリ活動してくださいね。

おまけ。
安っす。本盤収録メンバーによる、10年7月25日スペインでのプロショット・ブートDVDが343円ですって。
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