Sonny Rollins 「Old Flames」(1993)

 ノスタルジックを追求して、熱さより温かさを選んだスムース・ジャズ。

 50年代の名ピアニスト、トミー・フラナガンを招いて往年のジャズを狙ったか。さらにアルバムの前後はジミー・ヒースのアレンジで5管のムーディなビッグ・バンド風。
 ボブ・クランショーはエレべを弾くけれど、アコースティックな大人のジャズを志向した。
 63歳のロリンズ、守りに入ったか。もはや攻める必要もないけれど。
 Clifton Anderson(tb)は80年代からロリンズの相棒。ディジョネットも前作に続いて参加で、盟友クランショーは言わずもがな。あまりサイドメンにも冒険はしてない。

 フラナガンとは名盤"Saxophone Colossus"(1956)やマイルス・バンドも含めて断続的に共演しており、ロリンズとはアルバムだと"Falling In Love With Jazz"(1989)ぶり。
 本盤でロリンズのオリジナルは(4)のみ。あとはすべてスタンダードのカバーと、プレイヤーに徹している。
 
 アルバム前後に配置された管編成のオーケストレーションが、素晴らしく豪勢だ。甘く温かく楽曲を飾る。アレンジの勝利。ロリンズは優美に揺れる演奏に対し、思い切りロマンティックに吹いた。テナーの音色が、ちと柔らかすぎて痩せてるのが無念。
 ロリンズの音色はいくぶんブワブワと響く。柔らかいリードを使ってるかのように。
 ときおり音色をふらり揺らしながらも、奔放で大胆なアドリブは健在だ。

 正直、音楽にスリルは無い。ラウンジで寛いだBGMが似合いそう。アメリカでのジャズ消費の位置づけが今一つわからないが、高級ジャズ・クラブや営業用に舵を切った盤、ならばわからないでもない。ハードコアなインプロを追求せずに、スマートな世界を選んだ。

 フラナガンは手堅く演奏してるが、ディジョネットの突っつくようなシンバルが、サウンドをきゅっと引き締めてる。ベースは時に手数多いのに、ぜんぜんうるさくないさりげなさっぷり。

 いわば、そつがない。目を見張るプレイや、アンサンブルの斬新なアイディアは無いけれど。安定した傷の無い仕上がりだ。
 
 ロリンズの芳醇なテナーも、バンドを崩すまではいかない。味付け気味に譜割や音色で揺らすにとどめる。
 ためらいなく伸びやかに、どんどん溢れるアドリブのフレーズは、すごく美味しい。
 サックスは立ち止まらず、三連や小節線をまたぐ大きな動きの旋律がどんどん出てくる。この流麗っぷりは迷いがない。
 それだけで、いい・・・かもしれない。こういう落ち着いた寛ぎだって、ジャズかもしれない。

Track listing:
1. "Darn That Dream" (Eddie DeLange, Jimmy Van Heusen) - 6:56
2. "Where or When" (Lorenz Hart, Richard Rodgers) - 8:09
3. "My Old Flame" (Sam Coslow, Arthur Johnston) - 7:15
4. "Times Slimes" - 6:58
5. "I See Your Face Before Me" (Howard Dietz, Arthur Schwartz) - 9:41
6. "Delia" (Franz Lehár) - 9:48
7. "Prelude to a Kiss" (Duke Ellington, Irving Gordon, Irving Mills) - 7:18

Recorded in NY on July-August, 1993

Personnel:
Sonny Rollins: tenor saxophone
Clifton Anderson: trombone
Tommy Flanagan: piano
Bob Cranshaw: electric bass
Jack DeJohnette: drums
Jon Faddis, Byron Stripling: flugelhorn (tracks 1 & 7)
Alex Brofsky: french horn (tracks 1 & 7)
Bob Stewart: tuba (tracks 1 & 7)
Jimmy Heath: arranger, conductor (tracks 1 & 7)

 

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