Don Wilkerson 「Preach Brother!」(1962)

 R&Bを通過した60年代のソウル・ジャズ。

 たまたま耳にした。ドン・ウィルカーソンはルイジアナ州出身、60年にリバーサイドから"The Texas Twister"でリーダー作デビューした。いわゆるジャズ畑でずっと暮らした人ではないみたい。これ以前の54年にレイ・チャールズのバンドへ入り、"I Got A Woman"などでソロを吹いてるそう。

 あまりリーダー作は多くなく、このあとブルー・ノートにアルバムをもう一枚、"Shoutin' "(1963)を吹き込んだのみ。今ならブルーノート音源を2枚組にまとめた本盤のほうが、手軽かもしれない。
 

 さて"Preach Brother!"。本盤はブルーノートへ移籍、62年5月録音のアルバム"Elder Don"に次ぐ3rd作。前作の翌月、62年6月に録音された。前作とのセッション・ミュージシャンで共通はグラント・グリーン(g)のみ。ワンホーン体制でグリーンにソニー・クラーク(p)らの4リズムに乗って、のびのびとブルーズを吹いてる。2曲でのみタンバリンが参加、ちょっと彩りつけた。

 ゴスペルっぽい盛り上がりかと思ったが、むしろブルージーな色合い強い。派手に、もしくは熱狂的にアゲそうな構造が、今一つしぼんでる。コンパクトにまとまってしまった。
 テナーの響きはあまりブワブワ崩さず、意外としっかり吹いてる。ときおりオーバートーン気味に音程揺れるのがR&B的な味わいか。(3)が顕著だが、ソロを吹きつつキメを出す、伴奏っぽい立ち位置が面白い。自分が主役の場面でも、どこか全体像もしくは芯を探してる感じ。

 ソロの応酬ではなく、リズム隊に寄り添ったアンサンブル。(4)の冒頭で一瞬歌も出るが、ジャズよりR&Bの言語が沁みついた。ごりごりハードバップとは真逆の方向だ。バッキングでピアノ・リフを律儀に叩くクラークが切ない。リズム感はまだしも、もっと自由に崩してもいいのに。
 
 こんなウィルカーソンだから、テナー・ソロの時はあまりジャズっぽくない。むしろグリーンやクラークがソロ取った瞬間、サウンドがジャズにグッと寄る。各々のソロが長いわりに曲は6分前後で終わらせてしまうため、あまりソロ回しにはならないが。
 ジャンル分けはあまり芸がないけれど。こういう盤聴くと、それぞれの得意なスタイルあるんだなって思う。

 だがこの演奏に歌が載るかと言えば、ちょっと難しそう。あくまで演奏主体のジャズ、は変わらないか。テナーが歌ってるしね。
 あまり気負わず、のんびり楽しみたいアルバムだ。
 
Track listing:
All compositions by Don Wilkerson
1. "Jeanie-Weenie" - 5:01
2. "Homesick Blues" - 6:40
3. "Dem Tambourines" - 5:38
4. "Camp Meetin'" - 4:44
5. "The Eldorado Shuffle" - 6:28
6. "Pigeon Peas" - 8:35

Personnel:
Don Wilkerson - tenor saxophone, tambourine
Sonny Clark - piano
Grant Green - guitar
Butch Warren - bass
Billy Higgins - drums
Jual Curtis - tambourine (tracks 3-4)

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