明田川荘之"アフリカン・ドリーム"(2014)

 リズムの奔流と、雄大な風景でアフリカを表現したライブ盤。

 アケタの店で月例ライブ、15年3月9日の音源をアルバム1枚にまとめた。ここ数年は比較的、ピアノ・トリオ編成が馴染んでる印象ながら(ライブを聴きに行けてないので、えらそうなことを言えないが)、本盤はピアノにドラム二人とトリッキーな編成を採用した。

 楠本はずっと明田川と共演して関係は抜群。本田珠也と明田川の共演歴は良く知らないが、昔から本田はアケタの店に出演しておりつながりは長い。
 当日のライブ写真はこちら。楠本が真ん中のセッティングだが、CDでは定位をいじってるのか、若干ピアノが真ん中に聴こえる。それでも一番左のドラムが本田かな。
 ライナーによると本トリオでは二度目という。たどってみたら2010/10/28にこの編成でライブをしてた。当時の写真はこちら

 収録曲は明田川が幾度も録音してきた馴染み深いレパートリーばかり。スタンダードの(2)が初音盤化、かな。

 演奏は刻みともパルスともつかぬ、浮遊したビート感が全編を覆う。ドラム・ソロの場面ば別だが、基本的にドラマー二人ともアンサンブル重視の演奏だ。互いに合間を縫うような太鼓と、特に楠本の独特の溜めるドラミングで心地よいグルーヴが産まれてる。ポリリズムとは言わないが、互いの出すビートがジャストと逆ベクトル、しかし絶妙のうねりを産んだ。

 本田のドラムは繊細だ。スティックが柔らかくドラムを叩き、うるさくない。下からえぐるように、細かく上から刻むように。取りかたでいかようにもとれる、自在な演奏だ。
 とはいえ二人の音を聴き分けるより、隙間なく鳴り響く静かなシンバルやスネアの横溢に浸りたい。波打つビートの上で、ピアノがゆったりとメロディを重ねていった。

 アンサンブルの特異性に気負わず、三人とも伸びやかな演奏。(3)での明田川のオカリーナ・ソロは音量的に厳しいかと思いきや、若干埋もれ気味ながらもドラマー二人の気遣いできっちり聴こえる。楠本の手わざかな、フロアタムの深い響きが優しい。すぱっと着地した(3)の最後は「良く止まったね」と明田川らが笑う声まで収録のおまけつき。
 いわゆるアフリカンなイメージの(1)で幕を開け、のどかな寛ぎの(2)でさらに世界を広げる。キュートなオカリーナ中心の(3)でほっこり和み、クライマックスの(4)へ。

 ドラム・バトルとか、スティックさばきの応酬、みたいな激しい曲は本盤に入ってない。むしろ2台ドラムが産む柔らかい。
 例によって(4)の"Airegin Rhapsody"終盤では、ハードなクラスターのピアノが連発する。しかしドラムはむやみに音量上げない。じわっと音圧が上がってく感じ。濃密な風景だ。

 メドレーで続く"Blue Monk"はアンコールっぽいおまけ。軽くテーマから明田川流に様々な曲のイメージをブルーズのアドリブ込めて着地する。
 時間はじっくりとって演奏した。メンバー紹介も兼ねてるのか。4バーズ・チェンジでピアノとドラムたちの掛け合いが進んだ。楽しく加速して、幕。楽しい。

Track listing:
1.African Dream
2.Tennessee Waltz
3.St.Thomas
4.Airegin Rhapsody~Blue Monk

録音;2015年3月9日 西荻窪・アケタの店ライブ

Personnel:
明田川荘之:p,オカリーナ
楠本卓司:ds
本田珠也:ds

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