rabbitoo 「national anthem of unknown country」(2014)

 浮遊感漂う最新鋭な日本ジャズ・バンドの1stで、淡々して鋭いアイディアが一杯。

 制作に1年半かけたという。2010年に市野元彦(g,key)をリーダー結成された。フュージョンとは違うエレクトロニカを消化したジャズは、シカゴで腕を振るった田中徳崇の乾いたドラムを軸にふわふわと揺らいでく。
 声高にダンスを誘発ではない。けれども軽やかに弾む複雑なグルーヴが、このバンドのかっこよさ。複雑なことをたやすく見せ、エレクトリックな響きだが生演奏のダイナミズムに満ちている。

 ミニマルの硬質な肌触りは、酩酊ではなく緊張を連想する。時にざらついた表情を見せるサックスが、クールにアドリブをとった。本盤ではバッキングよりソロが前面ではない。曲の中でテーマへまとわりつくようにアドリブが重なるが、依然として基本テーマは存在感を保つ。

 とにかくドラムの刻み、淡々と芯を喰うベースの関係性が素敵な冷静さを滲ませた。ぷちんと小さく鳴るシンバルの音が可愛らしい。アドリブだと鍵盤は柔らかく、サックスはシビアに、ギターは抱擁するように音を重ねた。その一方で(6)みたいに切なく畳みかける演奏もあり。
 ソロとリズムの構造でなく、アンサンブル全体で様々な音を出すときの多層的な広がりが美しい。

 変拍子やアクセントが変わる譜割は、時につんのめりそう。そんな居心地悪さの一方で、抜群の演奏テクニックが滑らかに空気を揺らしていく。ぼくは彼らの音楽を分析できない。ただ、身をゆだねるだけ。
 一曲をあまり長くやらないところも、特徴かな。収録曲はだいたい、5分前後。ミニマルの連続する心地よさを狙わない。次々場面転換のごとく、曲が変わっていく。それだけレパートリーとアイディアが一杯あるってことか。

 彼らの演奏はYoutubeに動画もいろいろあり。前にライブ見たけど、かっこよかったな。
 

Track listing:
1. 猿の正夢
2. 黄色いスープ、青のパン
3. 砂漠の水夫
4. 入り口から数えて五番目の席で待つ男
5. 森
6. subliminal sublimation
7. EAT YOUR ORANGE
8. Distance
9. 兎とコッペパン
10. n.a.o.u.c.
11. 三番目の太陽
12. 入り口から数えて二番目の席で待つ女

Personnel:
市野元彦/ guitar, keyboards
藤原大輔/ tenor saxophone, flute, synthesizer, electronics
佐藤浩一/ rhodes, synthesizer, piano
千葉広樹/ contrabass, electric bass, violin, electronics
田中徳崇/ drums

 先月、2ndアルバムが発売された。聴かねば。
 

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