TZ 7376:John Zorn "O'o"(2009)

 爽快で軽快だがハイテクニックな、聴きやすい音楽。


 "The Dreamers"(2008)に続く第二弾だが、前作との音楽的な違いはよくわかっていない。エレクトリック・マサダから派生し、ハードさを抜いたのがドリーマーズ。ジョン・ゾーンの指揮で即興的なラウンジ・ジャズを提示するバンドだ。

 端正ですべて譜面みたいな構築美を表すが、けっこうゾーンのキューはこまめに飛んでいそう。ソロ回しや編成展開を指示している。指揮者がいる意味で、コブラとの共通性も感じてしまう。
 アンサンブルを奏者へゆだねず、即興フレーズ以外はすべてコントロールを狙う合理的インプロ構造を志向の観点で。

 本盤はTZADIKのデザインを数多く手掛けるChippyの手腕が光る。LPのダブル・ジャケット仕様で鉛筆の素描で野鳥の画集がついた。つるっと爽やかなイメージだ。
 
 ドリーマーズの感想は、書くのがすごく難しい。気持ちよかった、それだけで終わらせたくなる。
 サウンドは前作と何が異なるのか、今一つ聴き分けできなくて。ちょっと切ない旋律を振りかけた、ゾーン流のフュージョン・バンドか。
 とにかく奏者らの凄腕ぶりが際立つ。タイトなビートと滑るフレージング。破綻無くしなやかにグルーヴを提示した。

 曲によってポリリズミックだったり、終盤でいくぶん派手に鳴ったりと、決してセッションの垂れ流しではない。通底するアルバム・コンセプトは読めないが、楽曲はどれも鋭く響く。
 あまりややこしいことを考えず、素直にこの音像へ耳を任せるのがいいのかもしれない。もう少し、もう一度、本盤を聴いてみよう。違う感想が浮かぶかもしれない。

 なお本盤で初夏っぽい清涼さを表現したドリーマーズは、本盤の2年後に3rd"A Dreamers Christmas"(2011)を発表、真正面からクリスマス・サウンドを演奏した。
 ドリーマーズって、ジョン・ゾーン流の売れ線狙いイージーリスニング・バンドか。もちろん、皮肉さも込めて。

Personnel;The Dreamers
Cyro Baptista − percussion
Joey Baron − drums
Trevor Dunn − acoustic and electric Bass
Marc Ribot − guitars
Jamie Saft − keyboards
Kenny Wollesen − vibes, chimes, glockenspiel
Mike Patton − vocal

関連記事

コメント

非公開コメント