Attila 「Attila」(1970)

 若気の至りなビリー・ジョエルのジャズ・プログレ。

 前も日記に書いたが、下積み時代のビリー・ジョエルがハッスルズに次ぎ、結成したバンドがアッティラ。LP一枚を残して解散したが、本当にのちの音楽性と全く違うサウンドだ。何をもってこれが売れると思ったのか。

 Youtubeで音源が聴ける。いろんな意味で、必聴だ。
 

 メンバーはビリー(vo,org)とJon Small(ds)のデュオ。作曲はもちろん、自作オリジナルだ。
 さらにWikiではGlenn Evansが「ロード・マネージャー、ハモンドオルガンをマーシャル・アンプへ直結の考案者」と記述あり。つまりグレン・エヴァンスの技術力とマネージメントが本バンドのカギ。
 そしてこのハードコアなオルガンとラテン・ドラムの奇怪なデュオが出来上がった。

 ルインズみたいに派手な手数とシンプルな編成で、メインはビリーのオルガンと歌声。比較的、オルガンのほうがメインかな。(1)こそ強烈なシャウトで別バンドに聴こえるが、(2)などはいわゆるビリーの声質なため、ものすごく異質なムードを感じる。
 Wikiに85年のインタビューがあり。ビリーとしてはヘビメタをやってるつもりで、プログレじゃなかったらしい。ピアノ・バーでのギグなのに、大音量で演奏し観客にしゃべるスキを与えず、時に観客は全員がバーから帰ってしまったとか。
 本盤にも収録あるが、曲名には「ゴジラ」のサブタイトルまで・・・うっわあ。
 
 まあ、売れないよな。そして翌年、"Cold Spring Harbor"(1971)をビリーはリリースする。この変わり身の早さ。まさにアッティラは若き破壊衝動と売れない鬱屈をぶつけてたのでは。確かにかっこいいとも、自分たちは思ってたはず。だって、かっこいいもの。

 とはいえピアノ・バーでライブってのは、マネージメントのミス。そのマネージャーが、このサウンドを作ったわけだが。出口のない迷路で迷走みたいなものか。
 プログレ路線でサイケでぶっ飛んだ路線に、もしくは欧州に進出してたら、違うチャンスをつかみプログレ界でビリー・ジョエルの名が轟いてたかも。ジェネシスなら"Trespass"の頃だし。ビリーとフィル・コリンズの共演が、違う形で叶ってたって歴史のifも妄想してしまう。
 それがビリーにとって、ポップス界にとって幸せなifではないけれど。

 とにかくこの盤、面白い。ビリー・ジョエルの色を取っ払って、オルガン・ロックで見た場合、テクニカルで前のめりに凶暴なオルガンが、すごく魅力的だ。ドラムがヘタなんだよな。上手いドラムと掛け合わせ、洗練されたらとびきりのプログレに仕上がってた。アメリカのELPと呼ばれビリーにも違う道が・・・なくても、良かったが。

 ハード・ロックの側面では(5)が生き生きしてる。ちょっと錆びてるが伸びやかなシャウトで畳みかけるパワー・ポップな味わいは、なかなかかっこいい。足ペダルで下降するベースラインと、鍵盤の跳ねるフレーズのリズミカルな展開もなかなか。
 (6)での一人多重ボーカルの掛け合いでまくしたてるメロディは、キャッチーだ。喧しいアレンジをせず、ピアノ中心のシンプルなポップスなら映えそう。まさに後年のビリーのスタイルとか。
 (8)のテクニカルな鍵盤の展開はイエスやELPのファンに聴かせたい。シンプルだが鋭い鍵盤のフレージングが、シンフォニックな展開でかっこいいぞ。

 まさに"Angry Young man"や"SCENES FROM AN ITALIAN RESTARAUNT"の萌芽がアッティラ。ドラマティックな路線を洗練させたのがこれらの曲か。
 

 才能ある人は、結局何をやっても光るものがあると痛感する。
 幻の可能性を感じさせる、B級ながら興味深い一枚。今、廃盤で手に入りにくいのが解せない。ビリー・ジョエルが黒歴史で封じてるのか、権利関係が面倒なのか。購買層が見えないだけか。ビリーのファンが、アッティラを聴いて喜ぶとは思えないし。

 しかし、次の"Cold Spring Harbor"(1971)。思い切りメロウなピアノ・ポップだ。変わり身の早さにも、しびれる。たった一年で、ここまで路線変更するとは。
 「小奇麗に小さくまとまったな」とか「芸能界に魂売りやがって」とか、非難するアッティラのファンがいなかったのか。そもそもアッティラに、がいたとして。でももしリアルタイムでライブ見てたらぼくは、このバンドに惹かれて、ピアノ・マン路線のビリーを苦々しく見てたかもしれん。


Track listing:
1.Wonder Woman
2.California Flash
3.Revenge Is Sweet
4.Amplifier Fire(Part I―Godzilla Part II―March Of The Huns)
5.Rollin' Home
6.Tear This Castle Down
7.Holy Moses
8.Brain Invasion

Arranged By – Attila
Drums – Jon Small
Vocals, Organ [Hammond B-3] – Billy Joel
Music By, Lyrics By – William Joel, Jonathan Small
Producer – William Joel, Jonathan Small,Irwin Mazur,

Glenn Evans: road manager and creator of the direct input of a Hammond organ to Marshall amplifiers.

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