文学フリマへ行ってきた。

 同人活動=大儲けの固定観念が、頭から抜けない。コミケで長蛇の列と飛び交う同人誌、ごみ袋に千円札がぎっしり詰まり、間違えて捨てても「まあ、いいや」で済むだろうというイメージ。こんなのごく一部の大手だけで、過半数はもっとささやかな商業活動だってわかっているけれど。

 さらに同人=サロン的な思い込みもぬぐえない。買い手と売り手が仲良しどおし、部外者を遮断してサークル・スペースの前で盛り上がってる、かのような。
もっというと文学=爺さんのものって幻想も落とせない。縁側でこぶ茶飲みつつ談笑か、談論風発口角泡を飛ばし議論しまくるような。そんな昭和どころか明治大正頃の話かもしれないが。

 同人イベントは自分が部外者って思い込みがある。想定するターゲット顧客から明らかに自分がずれてるだろ、と。つまり居心地悪さを覚えながら会場を動く。
とはいえ文学フリマは前から何となく興味があった。
今の時代で、同人の書物にどこまでリアリティがあるか。HPやブログでテキストばら撒く時代からそろそろ15年たつ今、の時代に。

 今回の文学フリマ第十九回の会場はTRC。M3で馴染ある会場だ。のんびり行くつもりが、吉田隆一のサークルが売り切れかも、と開場直後に入門した。
結果から言うと・・・まだまだ閑散としてる。おっとりした印象。
文学フリマのWebはこちら。http://bunfree.net/

 会場はTRC 2展の上下階のみ。サークル・スペースもゆったり取られ、1展ワンフロアでも入りそう。いわゆる壁サークルは皆無。並んでたのは1F背後の弁当スペースだけ。
同人音楽やマンガと違い、たぶん文章の方が作成ハードル低い。いろんな頒布物があって、ぐるっと見て楽しめた。
テキストだけならブログでも今の時代、自己表現できる。そこへ紙へのフェティッシュが加わり、思想的な猥雑さも交じる。商品はコピー誌や無線綴じのカタログみたいなものから、凝ったものまで色々あった。

 雰囲気もギラギラしてない。コミケは行ったことないが、M3での「買ってちょうだい」オーラ出すスペースも少なめ。テーブルに幾つかを並べて、淡々と売っていた。
商業サークル風の脂っこさも少なめ。企業ブースは皆無、いわゆるプロの参加は岡田斗司夫とゲンロンカフェくらいかな。大阪だと汀こるものが、サークル参加するらしいが。
サークルも"壁"が無く、売れ線ブースの角も大学の文学系サークルが目立った。

 入場はタダ。サークル・カタログが無料で配られるが・・・むやみに豪華なつくり。その割に、スカスカ。サークル紹介がいやに隙間の多いレイアウトだから。なんだかなあ。あと、重い。何で同人誌は、こんな画用紙みたいに重い紙を使うんだ。

 まず吉田隆一のサークル"blacksheep 2D"へ。ご本人が売り子やっててびっくり。
「いや、他に誰が売り子やるんだ」と突っ込まれ笑ってしまう。
100部限定の持ち込み、な前宣伝。ともすれば瞬殺のボリュームだが、文学フリマは列ってものがほぼ皆無、無事にカセットブックを買えた(委細は、後述)。

 ぐるっと回った頒布物は二次創作はほとんどない。たいがいが一時創作。エンタメ系と言わゆる文学もありそう。詩や短歌、俳句も。写真集売ってるの見て、なるほどと唸った。グッズ販売はあまりおらず。もろに萌え狙いは少ないが、ヘンテコなテーマやエロやBL、政治的なもんなど混沌な世界と、SFやミステリに硬派な文学系の創作が乱立した。ある程度、傾向でサークル配置分けはしてるみたい。
 通路が広くとられており、通路の中で会話する人も何人か。邪魔だ。

 2Fのロビーにずらりと見本誌が並ぶ。これはいいアイディアだ。サークルごとに立ち読みしては「いりません」って動くのは、そうとうに神経削られそう。じっさい、ここで見本見て買ったサークルも一つあった。サークル・テーブルの上があまりにもそっけなく、見落としてたよ。

 文学の同人ってあまり興味が無い。マーケットがこの世界は限られており、面白い書き手が商業化されぬわけがない、と思ってるから。SFやミステリで凝った頒布物もあったが、すべてパス。縁があればまた手に入るだろ。
 しかしたいがいの出版物は、小さい字でレイアウトされている。老眼のおっさんには辛い。
 批評、特に音楽系の本を探したが・・・ほとんどないなあ。残念。しかし批評=小難しい書き方って、何とかならんのか。読みやすく面白い批評だってあるだろに。

 ということで、一時間ほどぐるっと回って退散。最後に買ったものを列挙します。どれもまだ、読めてない。

「ここがソノラマなら、きみはコバルト」
 吉田隆一の頒布物。装丁は古き朝日ソノラマ文庫を模しており、小説などの文庫本サイズ同人誌。カセットブックと聴き、往年の"ARIEL"みたいなのを想像したが、文庫にカセットが添付されるかたちだった。
 今はカセット聴けないんだよな・・DLコード無いか探したが、無い。音楽があるのにオブジェだけで聴けない。無念。大谷能生のSFエレクトロって、どんなのだろう。
 詳しい内容はこちら。https://c.bunfree.net/p/bunfree19/2224
 水見稜が寄稿してて驚いた。同人誌ではあるが、ある意味「プロの仕事」。

 インダストリアル・ノイズ中心の評論本。三段組で字が小さい・・・。単なる羅列に終わらず、著者が咀嚼して評論してるようだ。古めの音源中心だが、メルツバウの評論は近作まで踏まえた論調で興味深く読んだ。全150頁。

 "特集「ディスクガイドに載らないニューウェイヴの名盤・迷盤コレクション"に惹かれて。全60頁。80年代前半の音源をジャケ写付きで、ページあたり2枚づつ紹介している。
 後半でオスロのジャズ・フェス旅行記エッセイ8ページもあり。面白そう。
 CDが付いていた。中身は何だろう。

斎藤俊夫批評集
「旋回する言語 解放への音楽」(2013)「回転木馬と言語音楽」(2014)
 このブログの書籍化らしい。http://d.hatena.ne.jp/MOGURAmaru/
 内容は現代音楽のコンサート批評中心、無線綴じ。字が小さい・・・。
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