Curtis Mayfield 「Sweet Exorcist」(1974)

 初期の過剰なアレンジから、すっきりしたコンボ編成に移る。分岐点となった快盤。

 ミュージシャンのクレジットが不明ながら、カーティスの馴染みを集めたと思われる。ドラムだけちょっと、音が硬い気がするが。
 演奏は隙が無く、コンボ編成のまとまりもばっちり。メッセージ性を前面に出す生真面目も、甘くコーティングする余裕が出てきた。
 弦や管を効果的に厚くかぶせるアレンジ・スタイルはそのままに、飾りの配置はぐっと後ろに下げた。主役はパーカッションを加えたカーティス流のバンド・サウンド。
 洗練された吹きすさぶファンク・サウンドを本盤で完成させた。

 (1)からして、淡々と刻むカウベル(かな?)の金物が、すごくクールさを強調した。コーラスと一体化したカーティスの歌声は、バックに埋もれず明確に存在感を出す。ファルセットの気弱げな頼りなさはそのままに、鋭いファンクネスを漂わせた。
 シンプルなサビが繰り返され、さらに冷たく淡々と金物が拍頭を刻み続ける。
 アルバム前半をアレンジした、Richard Tufoの手柄だ。

 一転して柔らかい弾むグルーヴに満ちた(2)は、アルバム・タイトル曲。ファルセットが切なくしとやかに演奏に溶ける。畳みかけるメロディと、みっちり詰まったアンサンブル。ブレイクでふっと抜いて、改めて立ち上がった。この曲もアレンジが凄い。
 弦や管を使わぬコンボ編成のみで、シカゴ・ソウル流の埃っぽさを見事に表現した。オルガンの音色が良い効果かな。Richard Tufoの技は弦だけではない、と思い知る名曲だ。

 ちょっと甘さを増したソウルが(3)。フィラデルフィアにちょっと近づいた、かな。
 みっちり詰まった演奏を撫でるように、語りとも歌ともつかぬカーティスのふわふわ揺れるボーカルが流れた。思えばRichard Tufoはこの3曲、全く違うアイディアのアレンジを作った。
 メロウなテイストながら、ここでは親しみやすさを強調してる。弦が膨らんでは沈む一方で、オルガンやギターがカウンターのようにフレーズをしゃくった。

 初期カーティスの色合いを残しつつ、ぐっとポップに仕上げたのが(4)。ここからアレンジはGil Askeyに変わる。メッセージ性強い曲だとしても、音質はふっくら。激しさよりもしみこむ優しさを前面に出した。
 この曲は手数多いドラムが良い。ベースも弾み、ギターが軽くワウで煽る。弦も入り華々しいアレンジながら、個々の演奏は鋭さを持った。
 
 (5)は演奏をじっくりファンキーに弾ませた。歌と演奏がぶつかり合う。弦の飾りもあるけれど、芯となるのはリズムと鍵盤。リズミックな歌声も、演奏の味付けっぽい。
 すっと鳴る涼やかな鍵盤が、粘っこさを抜いたリズムと絡んだ。
 中盤から既に主役はインストだ。歌声がうっすらあっても、吹きすさぶシカゴ風のファンクネスがたっぷり溢れる。弦とホーンがバンドと張り合い、溶けて、弾む。
 ブレイクでドラムのみの刻みへ、コンガが加わる。カーティスのボーカルが入り、ストリングスが軋む。この風合いこそが、初期カーティスのサウンドだ。本盤ではすっかり洗練され、極初期の荒々しさは無いけれど。
 
 きれいなメロディでセンチメンタルに流れそうなのに。和音か音色か編成か。過剰に情感あふれることなく、聴かせる。そんな象徴的な曲が(6)。
 コード進行、かな。くるくると和音を変えながらメロウさで留まる。旋律だけだと、やたらクサいバラードになってしまうのに。この曲は、あくまでもりりしさを保った。
 さりげない佳曲だが、これ一曲取り出して聴きシミジミするのも良い。

 アルバムを締めるのが、シカゴ・ソウルを軽やかに決めた(7)。ただし、どこか重心は軽い。スリルはストリングスの響く音色。カツカツとシャープに刻むドラムは、むしろ突き放して乾いた優しさを表現した。

Track listing;
1."Ain't Got Time" 5:11
2."Sweet Exorcist" 3:53
3."To Be Invisible" 4:13
4."Power to the People" 3:29
5."Kung Fu" 6:12
6."Suffer" 4:04
7."Make Me Believe in You" 5:28

Personnel:
Arranged By - Gil Askey (tracks: A4 to B2), Richard Tufo (tracks: A1 to A3, B3)
Recorded at Curtom Studios, Chicago, Illinois


関連記事

コメント

非公開コメント