TZ 7075:Alvin Singleton "Somehow We Can"(2002)

 スリルとメロディの両立を独特に図った、さまざまな編成での現代音楽作品集。
  

 なぜかジャケットが二種類ある。手持ちCDのジャケは左側の黒人男性の写真。TZADIKのWebやAmazonのMP3では、右側の作曲者の写真を使った。1st/2ndプレスってこと?

 アルヴィン・シングルトンはNY生まれの黒人作曲家で、欧州で14年活動したあとアトランタのSpelman大学に所属しAtlanta Symphony Orchestra付作曲家となった。09年から更新無いが、公式Webはこちら。http://www.alvinsingleton.com/
 ネットでは今一つ、今の活動情報が伝わってこない。今年3月10日、75歳記念のインタビュー映像がYoutubeにあった。

 それと今年の4/7,4/8にAtlanta Symphony Orchestraの演奏にて、2012年の作品"Different River"を披露とあった。 
https://www.atlantasymphony.org/ConcertsAndTickets/Calendar/2015-2016/CS19-Lortie-Sibelius-Grieg

 さて、本盤は4曲を収録。

 (1)は95年作曲の弦楽四重奏で、叩きつけるような勢いと抒情性が交互に現れる。現代音楽的なスリルもあるが、特殊技巧や変則的な響きに向かわず、温かい旋律感を根底に感じた。断続や跳躍の唐突さと、瞬間を切り取ったときのふくよかさがあいまった、落差が美しい。
 録音クレジットが無いけれど、ときどき呼吸っぽいノイズが聴こえる。ライブ録音だろうか。盛り上がりのわりに、あっけなく終わってしまう。

 (2)が01年作のトランペットとピアノの二重奏。クラシックでなくフリージャズ畑からワタダ・レオ・スミスの起用が目を引く。どういう人脈だろう。冷たい響きのピアノが譜面でトランペットがソロ?断続的なフレーズを互いに交し合う。
 かなりとっ散らかった即興に陥りがちな構成だが、あまり双方の音数が多くなく、すっきりしたセッション風の仕上がり。やはりエンディングはあっけない。

 (3)は電気5弦ビオラの独奏曲で、99年の作品。本CDのライナーに記載の譜面が、この曲。そうとうにややこしい譜面で、即興の指示もあり。とはいえ音楽はしとやかに始まる。ディレイ・ループありか、複数の音が並列して存在する。
 この曲がもっとも素直に、かつ楽しく聴けた。電気仕掛けならではの薄っぺらい響きは否めないが、柔らかい響きと素直なメロディが漂う。ループするミニマルなフレーズも、きちんと構成され危なっかしさが無い。
 うっすらと漂う暗闇の凄みと、美しい和音の漂いが促す優雅なおおらかさが魅力だ。本当に、音色の安っぽさがもったいない。ダイナミズムや表情が平板なんだ。

 最後の(4)は79年とすごく古い作品で、室内楽オケの曲。奏者のクレジットは本盤に無い。次々に音が加わる物語性が味わいか。弦とマリンバ、金管や木管が踊る。
 ザッパっぽい抽象メロディの応酬がスピーディに広がる。無機質さは低く、どこか親しみやすい旋律感が彼の特徴だ。
 乱雑に溢れる野性的な雰囲気と、それらを整える精緻な手腕の双方を持ち合わせた。頭でっかちでもなく、打楽器風の旋律叩きつけでもない。細かく構築され、生々しさをメロディに込めた。
 いわゆる寛げる音楽ではないが、緊迫の中にも癒しを持っている。聴いてて、すうっと音楽世界に入っていけた。

Personnel:
Marian Anderson String Quartet
Marianne Henry: Violin
Marisa McLeod: Violin
Diedra Lawrence: Viola
Michael Cameron: Cello

Anthony Davis: Piano
Wadada Leo Smith: Trumpet

Martha Mooke: Electric Five-string Viola

最後に彼の作品をYoutubeからいくつかあげておく。






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