Sonny Rollins 「The Way I Feel」(1976)

 豪華で上手いが、ロリンズがブランド・イメージの提示に留まってる。

 フュージョンに色目使いつつ、ジャズを志向した。演奏とロリンズの溶けあいが中途半端で、ロリンズのソロってよりも"ロリンズ全面参加のフュージョン"って、ひとつ遠回りした聴き方をしたくなる。豪快に吹いてるが、ロリンズである必然性は?と感じちゃって。時代だから、売れ線狙いはやむを得ないのかも。逆に完全アナクロな背広来たモダン・ジャズをしないぶん、ロリンズは時代に誠実だったと取るべきか。

 伴奏は豪華に揃え、隙を作らないが金太郎飴みたいな類型さも出てしまった。フュージョンはあまり聴いたことなく、どうしてもコメントが辛くなってしまう。
 なにせパトリース・ラッシェン(key),ビリー・コブハム(ds),ビリー・サマーズ(per),リー・リトナー(g)だ。そこまで整えなくとも。

 ベースは試行錯誤時代で、ボブ・クランショーはいない。
 Alex Blakeがウッド(on 3, 6 & 7),エレべがCharles Meeks(on 1-2 & 4-5)。つまりエレべのほうが多い比率だ。
 Alex Blakeは当時、ビリー・コブハムのアルバムに参加。Charles Meeksはラッシェンの"Before The Dawn"(1975)に参加。そんな人脈かな。

 全7曲中、4曲を作曲してロリンズはサックス吹きに堕していない。とはいえ1曲はラッシェン、のこり2曲はジョージ・デュークの曲。デュークは本盤に参加してないが、どういう伝手で楽曲取り上げだろう。前作"Nucleus"(1975)にデュークは参加、ロリンズとツアーでもしてレパートリーになったかな。

 冒頭曲も含め、ロリンズはラテン風味を隠さない。(1)や(4)などあからさまに、ロリンズの趣味を出した。トロピカル風味で、まあ合っている。(1)の最後では派手なフラジオをブチかまし、テンション高くサックスは吼えた。
 (4)の冒頭でけたたましく畳みかける場面も良い。これって当然ながら同録と思うが・・・時に、テンポが前のめりに走る気分になる。ロリンズに釣られて、必死に合わせてるようなダイナミズムが録音時にあったなら、いいな。クリック相手のダビングめいたフュージョンは、あまりにロリンズに似合わない。

 全体の演奏ではコブハムのドラムがまず、耳に残った。派手だし、手数多い。豪華なホーン隊のゲストも小さめにミックスされ、基本は味付けに留まる。その辺も、あまり必然性が無いと敢えて言いたい。(2)みたいに大編成を背後に配置しても、だ。
 ただし(5)での大編成ホーンズは、爽快路線がハマった。ロリンズの野太いテナーと対比が効いている。軋ませながら加速するテナーがスリリングだ。フェイド・アウトが残念。派手にエンディング決めて欲しかった。
 
 金をかけるのもいいが、主役はロリンズだ。サックスの音色も力ある。純粋なセッションだけで聴きごたえある代物ができたはず。耳ざわり良く、破綻無く。そんなフュージョンの飾り立てが、ロリンズの牙を削いでしまった。サックスがサウンドの素材だ。主役だが、ロリンズでなくとも良い。
 メロディアスなフレージングと、譜割を揺らすタイム感でブランドとしてのロリンズは、聴き手の期待に応える。つまり予想通りな音色の像を、時代の最先端な音楽できれいに飾り付けた。そんな、作品。

 (6)はアナクロにクラシカルなコンボ・ジャズ路線を吹く。ベースもウッド。すっと張りつめた雰囲気を、かき回すように豪快なテナーが貫いていくさまが良い。
 ロリンズの昔ながらな真骨頂だろうに。しかし楽曲はジョージ・デュークの作品で、エレキギターやエレピが弾む。この辺どうにも、屈折したアプローチだ。
 
 (7)は華やかなジャズ・ファンク。ロリンズが素材気味だが、鍵盤とギターが産むサウンドは単純に心地よい。でもフェイドアウトって、フュージョン色が過剰に出ていまいち。別にジャズでもフェイドアウトはあるのだが、きっちりとコーダ決めて欲しい。ぼくの好みだけど。 

 色々ともどかしさはあるものの、収録された演奏は抜群に上手い。甘いギターや鍵盤、タイトなドラム。アレンジも練られてる。無味乾燥なきれいごとで終わらぬよう、サックスもきっちり太く仕事した。
 理想のロリンズ像は50年代と決めつけてしまうのか。ならば、足を止めて目を閉じれば良い。ロリンズは人間で、生き続けてるんだ。都度都度の生きざまを聴かなくては、意味がない。そんなことを考えていた。

Track listing:
1. "Island Lady" - 5:51
2. "Asfrantation Woogie" - 3:14
3. "Love Reborn" (George Duke,Flora Purim) - 5:13
4. "Happy Feel" - 3:53
5. "Shout It Out" (Patrice Rushen) - 5:45
6. "The Way I Feel About You" (Duke) - 5:34
7. "Charm Baby" - 7:25

Recorded atFantasy Studios, Berkeley, California, August-October, 1976

Personnel:
Sonny Rollins:tenor saxophone
Patrice Rushen:piano,electric piano,clavinet,synthesizer
Lee Ritenour:guitar
Billy Cobham:drums
Bill Summers:conga,percussion

Alex Blake:bass(tracks 3, 6 & 7)
Charles Meeks:electric bass(tracks 1-2 & 4-5)

Oscar Brashear,Gene Coe,Chuck Findley:trumpet(tracks 1-2 & 4-6)
George Bohanon, Lew McCreary:trombone(tracks 1-2 & 4-6)
Alan Robinson, Marilyn Robinson:french horn(tracks 1-2 & 4-6)
Don Waldrop:tuba(tracks 1-2 & 4-6)
Bill Green:piccolo,flute,soprano saxophone(tracks 1-2 & 4-6)

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