Curtis Mayfield 「Short Eyes」(1977)

 メロウで詰めの甘さが残る、滴り具合が逆に魅力なアルバム。

 ロバート・M・ヤング監督の同名映画で、カーティスが全面的に音楽を担当。
 だが本盤は歌ものがメインで、彼のソロとしても十分に聴ける。映画の予告編をYoutubeで探したら見つからず。かわりになぜか、時間が30分近く違う二本のフル映像あり。長いほうはディレクターズ・カットかな。
 

 映画には"Doo Doo wop is Strong In Here"を歌うシーンで、カーティス自身も出演した。抜粋シーンがこちら。


 本盤の質感は初期カーティスのソロに近い。吹きすさぶ風を連想する不穏なムードを保ちつつ、主張の強いニュー・ソウル。弦と管で豪華に飾り立てた。ここではむやみに派手なアレンジを採用せず、弦が鳴るものの基本はコンボ編成の味が強い。
 軽やかなパーカッションと、うごめくベース。そして着実に刻むドラム。ギターがファズを効かせてうねる音色は、何とも時代を感じた。
 クレジットだとリード・ギターはカーティス自身とある。例えば(2)でのちのプリンスみたいなむせび泣くソロもカーティスなんだ。てっきりリズムギターが主体かと。

 たぶんソロと違うのは歌に込めたメッセージ性の欠落のみ。つまり楽曲提供のノリで歌と演奏まですべてカーティスが仕切った。そのためか肩の力抜いた、穏やかな寛ぎが全編に漂う。かなり不穏でワイルドな映画らしいが、楽曲はメロウさがたっぷり含まれた。
 なおアレンジは、カーティスの盤ではおなじみのRich Tufo。ドラムのDonnell Haganは、"Never Say You Can't Survive"(1977)でも叩いてる。そもそもこのセッションと同じ時期に録音かも。

 アルバムの曲調は意外にバラエティに富んでる。ベストとは言わないが、肩の力抜いた演奏は貴重だ。初期カーティスのソロは、いがいとピリピリ張りつめた雰囲気も内包されてるから。この時期にはもうカーティスが、丸くなってたとはいえ。

 メロディの力は、ちょっと弱い。演奏も詰めが甘く、縦線がばらつく。アレンジ手法はカーティス流の、様々な楽器を足し厚みを出すスタイルのため、雑な演奏だとアンサンブルが揺れすぎて魅力半減だ。
 とはいえ、手抜きでは決してない。ちょっと適当に作ってるだけ。鼻歌気分のソウルって風に割り切って聴くのも良い。(6)や(7)みたいなスローが、ぐっときた。

Track Listing:
1.Do Do Wap Is Strong In Here 5:28
2.Back Against The Wall 6:34
3.Need Someone To Love 3:11
4.A Heavy Dude 4:07
5.Short Eyes - Freak, Freak, Free, Free, Free 5:40
6.Break It Down 4:17
7.Another Fool In Love 3:20
8.Father Confessor 2:40

Personnel:
Producer, Lead Guitar, Written-By – Curtis Mayfield
Backing Vocals – Alfonso Surrett, LeRoy Hutson, Ricki Linton*
Bass – Joseph Scott
Bongos, Congas – Henry Gibson
Drums – Donnell Hagan
Keyboards – Floyd Morris
Keyboards, Arranged By – Rich Tufo
Rhythm Guitar – Gary Thompson

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