Curtis Mayfield 「Do It All Night」(1978)

 時代のあだ花な豪華アレンジの、ディスコ追求盤。ラスト3曲がカギ。

 その後半三曲は、カーティス自身がミックスも担当した。それだけが、本盤の価値になってしまってる。残念な一枚。
 
 本盤発売の78年はChic"Le Freak"がヒットしたころ。リアルタイムでないためピンとこないが、たぶんディスコ全盛期か。「サタデー・ナイト・フィーバー」の封切りが、77年末だ。

 そんな中、カーティスは本盤でぐっと、ディスコに接近した。そしてたぶん、最後のプライドが終盤3曲の自ミックス曲だろう。完全に魂までは売り渡さないぞ、と。
 
 (1)は思い切りディスコ・タッチ。サビでのユニゾンで刻む爽快感はあるが、あまりにカーティスのボーカルに合っていない。線の細い歌声は、この手のリズミックで豪華な伴奏だと埋もれてしまう。メロディ・ラインはさすがにキャッチーだが。
 様々な楽器を重ねてリズム強調のテクニックはさすが。軽い響きのギター・ストロークがリズム・ボックスに聴こえてしまう。
 この時代は、演奏が生。タイトというより乾いた刻むドラムを軸に、チョッパーも含めたベースのコンビネーションに時代を感じる。エレキギターの音色も、そうだな。

 流麗な弦や管、多様な楽器を重ねる厚くスピーディなアレンジは、初期カーティスの専売特許だったはず。けれど本盤でのゴージャスさは、どっか重心が軽い。やはりディスコ的な(2)は、アレンジが決まりすぎてて隙が無いのかも。
 カーティスの歌声はやはり埋もれてしまい、冒頭はバック・コーラス並み。まるでカラオケみたいな響きになっちゃってる。歯切れ良いギターのカッティングは生き生きなのに。
 野太い歌声をメイン・ボーカルに立てたら、だいぶ印象変わったと思うが。サビ前の転調っぽいフレーズもかっこいいもの。
 コンガのソロを挟み、明るく展開の場面も良い。リード・ボーカルはどこ・・・?が、本盤での最大の難点だ。

 同じようなパターンだが、若干カーティスのボーカルが前に出てる(3)。とはいえやはり、歌声が弱い。それでも本盤をリリースなあたり、なんとも評価しづらい。
 駆け続けるコンガと、爽快なギター。華やかな女性コーラスとホーン隊。ミックス次第でもっと派手に盛り上がったと思う。アレンジのキメも多いし。

 だが本曲ではいくぶんミックスを控えめにし、リズミックさを強調した。正解だと思う。やたら終盤部が長く、ディスコ・ミックスの12インチを聴いてる気分ながら。
 このミックス・バランスで前の2曲も仕立てたら、もうすこし時代を超えたスリリングな魅力を本盤へ付与できたのでは。
 もっともポップミュージックはそのときに売れてなんぼ。普遍性より流行のほうが重要か。普遍性を意識する山下達郎みたいなアプローチのほうが希少だ。

 アップテンポながら、ファンキーさとコンボ編成が強調の(4)。メロウさが染み出し、ずっと素直に聴ける。ここからカーティスのミックス。流行りものはA面に固め、自らの好みはこの三曲に込めたのでは。ソロ名義のアルバムなんだもの。商売ばかりじゃつまらない。

 (5)も佳曲。滑らかに弾むベースと、着実に踏んで叩くドラム。涼やかな歌声と静かに膨らみ持たすエレピ。派手なシンセがちょっと邪魔だけど、心地よいミディアムだ。
 あまり変化させぬ旋律のフレージングを重ね、サビで甘く弾ませる。下から上へ、ぐいっと持ち上げるサビのメロディが、とても魅力的だ。ああ、シンセがでかすぎる。

 アルバム最後の(6)が、まさに抜群の締め。カーティス流のディスコ・サウンドを、見事に決めた。できるじゃん。たしかにA面ほど派手じゃない。けれどディスコをきっちり意識した上で、自分の歌声も立ち位置を見出してる。なぜこれでアルバムをまとめないのか。
 いや、理由はわかる。地味だ。A面に比べて。

 だからレコード会社側が、もしかしたらプロデューサーとしてのカーティス自身が、派手でラジオやディスコでの音圧意識して、A面路線を作ったんだろう。
 本盤が莫大に売れてたら、まだ救われる。実際はさほどヒットにも至らず、後年のカーティス評価にも、本盤はさほど語られない。
 良くも悪くも、素直な自己表現こそが普遍的な魅力を持つ。そんなことを考えてしまった一枚。

Track listing:
1. "Do It All Night" (Gil Askey, Curtis Mayfield) - 8:17
2. "No Goodbyes" (Askey, Mayfield) - 7:40
3. "Party, Party" (Askey, Mayfield) - 7:54
4. "Keeps Me Loving You" (Mayfield) - 3:24
5. "In Love, In Love, In Love" (Mayfield) - 4:20
6. "You Are, You Are" (Mayfield) - 3:38

Personnel:
Curtis Mayfield - lead vocals, guitar, producer
Gil Askey - Arranger
Backing Vocals - The Jones Girls, Kitty Haywood And The Haywood Singers

関連記事

コメント

非公開コメント