Sonny Rollins 「This is what I do」(2000)

 スタジオ作ではごく最近のアルバム。もう16年前だが。

 ジャズは前衛的である必要はない。エンターテインメントだ。それをじっくり考えさせたアルバム。リリースの00年でロリンズは70歳。ロック界では最近、70歳になってもビジネス規模的に枯れることが許されない人が多いため勘違いするが、普通は隠居の歳。生きて、演奏してくれるだけでうれしい。そういう年齢だ。

 本作はMilestoneで最後のアルバム。この後、"Sonny, Please"(2006)を自レーベルのDoxyから発売以後、各時代のライブを縦横にまとめたコンピ・アルバム"Road Shows"シリーズを4枚リリースのみ。スタジオ録音は発売してない。
 つまり本盤は比較的近作のスタジオ録音、となってしまう。あえて、晩年とは言わない。とことんロリンズは生き延びてほしい。老醜のかけらもない、良い生き方をしてるだけに。

 だが繰り返す。この時点のロリンズに新奇性は求めない。豪放に吹いてくれるだけで良い。
 そしてロリンズは、期待にばっちり応えてくれた。6曲収録のうち、オリジナル3曲を投入する元気の良さにも驚く。円熟したが、枯れ切っていない。この辺が生命力だ。

 メンバーは相棒ボブ・クランショー(b)以外だと、2曲でジャック・デジョネットの参加が目を引く。"Sonny Rollins + 3"(1995)以来の共演みたい。デジョネットはもっと前衛やECM的なイメージを勝手に持ってるんだが、意外にロリンズと共演してる。
 Clifton Anderson(tb)は85年、Stephen Scott(p)は95年。Perry Wilson(ds)は98年。録音当時、たぶんツアーを重ね気心しれたサイドメンを集め、のびのびとロリンズは吹いた。
 
 録音の流れでいうと、ディジョネットのドラムで4曲を00年5月に二日間かけて収録。2ヶ月後の7月に、Perry Wilsonに変えてもう二曲。そんな感じ。

 テナーは柔らかなリード風のふくよかな響きで、うっすらとサブトーンが舞う。ロリンズ節が充満し、期待に応える演奏だ。アドリブもフレーズがどんどんと溢れ、手癖めいた退屈さは希薄だ。全体的におおらかでムーディなモダン・ジャズが広がる。
 クランショーのベースが安定感とグルーヴの双方を自在に行き来する。ディジョネットの小気味よいシンバルさばきが、良いアクセントになった。

 面白いのが(1)。70歳になっても依然としてラテン風味をとぎらせない。よほどロリンズが好きなんだな。
 
 破綻ない演奏が中心で、細かいところに目くじら立てても仕方ない。くつろいで酒を片手に聴くのにぴったり。サイドメンは手堅い演奏しつつ、端々できゅっと締まったおかずを入れて緊張を保たせる。

 のびのびとロリンズの演奏へ身をゆだねるべき盤だ。ロリンズのソロばかりでなく、サイドメンにも見せ場を与える鷹揚さで、がつがつしたところが無い。
 数々の修羅場を潜り抜け、穏やかに自然体のサックスを示した。よほどオンマイクなのか、キーがパタパタいう音まで聴きとれそう。

 なんというか、いい形で歳をとるってこういうことか、って感じ。

Track listing:
1. "Salvador" – 7:55
2. "Sweet Leilani" (Harry Owens) – 7:01
3. "Did You See Harold Vick?" – 9:19
4. "A Nightingale Sang in Berkeley Square" (Eric Maschwitz, Manning Sherwin) – 8:06
5. "Charles M." – 10:19
6. "Moon of Manakoora" (Frank Loesser, Alfred Newman) – 5:44

Recorded at Clinton Recording Studios, New York City, on May 8 & 9, 2000, except tracks 3 & 5, recorded on July 29.

Personnel:
Sonny Rollins – tenor saxophone
Clifton Anderson – trombone (except tracks 1 & 6)
Stephen Scott – piano
Bob Cranshaw – electric bass
Jack DeJohnette – drums (except tracks 3 & 5)
Perry Wilson – drums (tracks 3 & 5)


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