Sonny Rollins 「Alfie」(1966)

 入れ子構造なちょっと古めかしいモダンジャズ。

 66年公開のビル・ノートン監督"アルフィー"。

 主題歌はバカラック=デイヴィッドの有名なヒット曲。エンド・クレジットで流れてる。


 このイギリスの映画を、ソニー・ロリンズが音楽担当した。すべてアメリカ勢に音楽を任せた格好だ。サントラはStan Traceyらイギリスのミュージシャンとロリンズが共演。OSTのLP発売あったのかな。検索しても見つからず。
 そう、本盤はサントラではない。ロリンズを主役に立て、オリバー・ネルソンにアレンジをゆだね、アメリカのジャズメンを集めて吹き込んだ。いわばセルフ・カバー盤だ。

 ロリンズが仕切りながらもプレイヤーとして立ち、あくまで自らの音楽を素材としてジャズ解釈する。しかもけっこう、荒っぽい。いかにもジャズ的な発想の作品だが、なんとも入れ子構造が面白い。
 あくまで楽曲は映画と切り分け演奏しつつ、ジャケット・デザインは映画音楽っぽいデザインだ。
 せっかくの映画音楽作品、思い切り構えて作りこんだ構成も可能だったろう。契約や予算が許せば、OSTとジャズ解釈を並列させ多面的に楽曲表現なんてのも面白そうだ。
 このへん、ロリンズは本映画音楽に対する愛着が今一つ薄い。
 
 収録曲は6曲で、最後は(1)の別テイク、みたいなもの。作曲はすべて、当然ロリンズだ。せっかくならバカラックのテーマ曲もやってほしかったが・・・契約か、ロリンズの興味の問題か、それは叶っていない。

 楽曲の出来とは別次元でミュージシャンの選定も、ロリンズは大らかだ。あえてテナー奏者にBob Ashtonを混ぜる。もっとも彼はバックリフメインっぽいが。
 フロント4管、ときに6管の大編成。ピアノとギター入りの4リズム体制と、純粋トリオすら好むロリンズにしては、異様なほど豪華な分厚いアレンジを採用した。実際はオリバーのアレンジだが、これを良しとしたロリンズの見解が謎だ。

 オリバーのアレンジはさすが。甘く、分厚く、細やかだ。ぴたりとピッチ揃った・・・当たり前だが・・・ホーン隊が心地よくふくよかなリフを奏で、ロリンズの野太くも荒っぽいサックスをきれいに飾った。
 ギターやピアノの見せ場も多く、決してロリンズ一人が悪目立ちもしない。しゃっきりと場面展開のメリハリ効かせ、芯をロリンズの震えるテナーが突き刺すことで一貫性を出した。繰り返し聴くほどにアレンジの精妙さに気づく。

 メンバーも美味しいところを揃えた。2曲のみとはいえJ.J.ジョンソンも参加。ホーン隊の一人はフィル・ウッズだし、ギターはケニー・バレル。手堅い演奏を、エコー感あふれるソフトな音像で録音した。

 むしろ50年代のハード・バップや、さらにその前のビッグバンド風味を織り込んでいる。フリージャズがのしてきて、マイルス・デイヴィスでいうなら"Nefertiti"前夜、の頃合い。その一方で、このアルバムはむしろ古めかしいほど。イギリス人の懐古趣味に乗っかった、と解釈はうがちすぎか。

 本盤でとにかく納得いかないのは、最後の(6)。テーマの独奏で、ロリンズは数回ほど派手に音を散らす。リードミス寸前だ。
 おおざっぱなのかもしれないが、もうちょい整ったサックスでアルバムを終わらせて欲しい。せっかくの豪華で洗練されたジャズが、最後の最後でずっこけ気分になってしまう。むしろこの細かいところに拘らないところが、アメリカン・ジャズの本領なのか。

Track listing:
1. "Alfie's Theme" - 9:41
2. "He's Younger Than You Are" - 5:09
3. "Street Runner with Child" - 3:59
4. "Transition Theme for Minor Blues or Little Malcolm Loves His Dad" - 5:49
5. "On Impulse" - 4:28
6. "Alfie's Theme Differently" - 3:44

Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, January 26, 1966

Personnel:
Oliver Nelson - arranger, conductor
Sonny Rollins - composer, tenor saxophone
J.J. Johnson - trombone (tracks 1 & 2)
Jimmy Cleveland - trombone (tracks 3-6)
Phil Woods - alto saxophone
Bob Ashton - tenor saxophone
Danny Bank - baritone saxophone
Roger Kellaway - piano
Kenny Burrell - guitar
Walter Booker - bass
Frankie Dunlop - drums

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