TZ 7644:Marco Cappelli Acoustic Trio "Le Stagioni Del Commissario Ricciardi"(2013)

 アコギを軸の、鋭くも整ったアンサンブル。

 イタリアの探偵小説作家Maurizio De Giovanniによるキャラクター、Dicciardi長官をテーマの楽曲集。疑似的サントラみたいなものか。著書の日本語訳はあるのかな。wikiによれば06年から現在まで書き継がれてるシリーズのようだ。

 くっきりとギターの目立つ本盤は、最近にジョン・ゾーンが披露してる、一連の疑似バンドと良く似た耳ざわりだ。
 リーダーのギタリストは、ハイテクニックも売りらしい。


 シンプルできっちりしたリズム隊に支えられ、のびのびと鋭くも滑らかなアドリブを披露した。どこかミニマルな楽曲なのは奏者の好みか。ときおり変拍子も混ぜる構築された楽曲で、即興でなくソロとインタープレイを味わうフュージョン的なスタイル。
 スリリングな空気が特徴だ。ドラムやベースはオスティナートがメインで、ときおりアドリブっぽいプレイを差し入れる。

 ベースのKen Filianoはベテラン。70年代にアンソニー・ブラクストンらとの共演でキャリアを始めたフリー・ジャズ系の人で、サイドメンにリーダー作に膨大な作品あり。TZADIKでは本盤のほかにFrank London "Invocations"(2000).Larry Ochs"The Fictive Five"(2015)の録音へ参加した。

 だが本盤の主役は明確にギターだ。
 イタリア作品に影響受けた作品なためか、カンツォーネっぽい情感あふれるメロディがそこかしこに現れた。
 ウッドベースの野太くも確かなフレージングは、拍頭をモタらせ強靭にグルーヴさせる。ハイピッチの硬いドラムもノリは後ろに置き、タイトながら頼もしいふくらみをリズムに付与した。

 全般的には涼やかな雰囲気を持つが、中には(5)のように抽象的なインプロの楽曲もあり。ほんのり影をまとったメロディは、尖ったラウンジ風味で次々流れていく。
 アドリブのメロディよりリズミックな構成の面白さに軸足、だろうか。あくまで主役はギターだが、決して伴奏にとどまらず時に大胆に動くリズム隊の演奏も聴きもの。

 とにかく三人の演奏が抜群に上手い。4~8分の時間軸で9曲を収めた本曲は、メカニカルさと抒情旋律の味わいが似通っており、あまりアルバムとしてのメリハリは薄い。
 テンポ感やギターの音色を極端に変えないためか。最初は組曲みたいに聴いてしまった。
 一曲ごとに集中すると、もちろんアイディアや魅力は個々に違う。聴きこむほどに魅力を増す盤だ。

Personnel:
Marco Cappelli: Classical"extreme"Guitar
Ken Filiano: Double Bass
武石聡: Percussion

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