Sonny Rollins 「Complete Live At The Village Gate 1962:7/29 2nd set」(1962)

 ドン・チェリーと共演の6枚組BOXの三日目、2ndセットにうつろう。

 62年7月28日の2ndセットはCD4の2-2曲目。長尺2曲で押し通す、この4daysらしい力技なセットリストだ。
 バド・パウェルの曲"Tempus Fugit"は、この4dayでも唯一の演奏。かつ、ディスコグラフィーを見ても他のテイクが残されていない貴重な選曲だった。もう一曲のタイトル不明なオリジナルは、初日振りの演奏となる。

 この日もサックスの調子は好調。いきなり高らかに吹き鳴らし、カウンターで小さい音を入れる・・・と思ったら。急に全休符。なんなんだ。
 おもむろに刻みとベース、トランペットがおずおずと音を出す。舐めるように。テナーも短いフレーズを太く吐き出し始めた。
 
 ハイテンションの疾走が続くわけではないが、演奏は張りつめている。二日目ほどではない気もするけれど。
 演奏は盛り上がりそうになった瞬間、すっとノービートで沈む。無伴奏の中、ホーンが鳴ったりリズムが茶々を少し入れたり。そうか、フリージャズ展開が極端なのかも。
 コード進行的なフリーさは希薄でも、構成やソロ回しのお約束回避って点では自由だ。
 進行の自由さを強く感じる。たとえば別日に演奏の"セント・トーマス"は、伴奏へ強烈な楽曲の存在を感じた。だがこの(1)の演奏は、そこからも解き放たれている。ソロの道しるべとしてのみコード進行が存在し、展開は自由な感じ。
 ドラムとベースも慣れたのか、ぎこちなさが低くなった。緩急がバンド全体で行われる。

 そう、この日の演奏は総じて、リズム隊とホーンの乖離が少ない。滑らかだ。チェリーのぶつ切りフレーズは相変わらずだが、いくぶん生き生きさが増した。
 良く聴いてたら、この(1)のバランスや奔放さもすごく良いなと考えが変わってきた。いわゆるグルーヴィな演奏とは逆ベクトル。しかし自在さはこちらのほうが上だ。探りながら、隙あらば斬るスリルが詰まった。

 (2)もテンションやアプローチは変わらない。スタート&ストップを駆使しながら自由にソロが展開する。しかしこのバンド、どこか覇気が感じられないのはなぜだろう。スピードが一定しない。どこかノリがちぐはぐだ。
 ロリンズが仕切りつつも、根本で我が道を行くスタイルのせいか。たとえば(2)でも3分寸前くらいは全員がばらばらなのに。ロリンズのアドリブが軌道に乗り、リズム隊やチェリーがノッてくると途端にグルーヴしだす。このときロリンズはバンドリーダーではなく触媒、だ。この時の映像が見てみたい。どんなステージ風景だったろう。
 全員がロリンズを気にしつつ、意識しないように。そんな相反する空気が漂ってた気がしてならない。

 ボブ・クランショーのベースも自由だ。チェリーの背後でオスティナートのカマシから、ランニングで煽ると手練手管が鮮やか。時にアルコまで。ビリー・ヒギンズはむしろ好き勝手にリズム・キープで探り気味。

 このセットは瞬間を切り取ると、すごく濃厚な瞬間がいくつもある。だが全体としては散漫さも。歩留まりの悪さが、今一つ。何かをつかもうとする、試行錯誤の熱意はぷんぷん漂うのだが。

[Set list]
1.Tempus Fugit
2.Untitled original A #2

Personnel:
Sonny Rollins:ts
Don Cherry:cor
Bob Cranshaw;b
Billy Higgins;ds

Live at the Village Gate, New York, July 29, 1962 2nd set


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