Sonny Rollins 「Complete Live At The Village Gate 1962:7/28 3nd set」(1962)

 ドン・チェリーと共演の6枚組BOXの二日目、3rdセットだ。

 62年7月28日の3rdセットはCD2の4曲目とCD3の1-2曲目。
 いきなり演奏が始まる。冒頭に拍手が聴こえるため、この前にもう一曲、演奏してたのでは。3rdセット音源は全部で46分程度と、ちょっと短めだし。
 選曲は伝統曲やスタンダードなどオーソドックスなもの。とはいえ演奏は今一つ華が無く、むしろ殺伐としてる。

 (1)からして楽曲の和音が異様に潰れて、奇妙な凄みを出した。メロディアスなはずだし、特にベースやドラムが変なことはしてないのに。サックスとコルネットのぶつかる音の塊が、すこしばかり違う世界を作って緊迫感を煽った。
 テナーのソロへ向かうのも、チェリーとロリンズでバトルしあい、その結果としてロリンズがアドリブの権利を奪い取ったかのよう。ただしてんでに吹き合う冒頭の二管な絡みは、むしろスリリングで楽しかった。
 (1)のアドリブが急にテンポ・ダウンしてブルージーに流れるところも、かっこいい。

 話がぐっとズレるが、2管ピアノ無しのカルテットだと、僕はどうしてもMASADAを準拠枠にしてしまう。フリーとアンサンブルが絶妙に絡んだバンド、として。この観点で、MASADAのバランスは素晴らしく良かった。
 その視点でロリンズの本バンドを聴くと、覇気に欠けリズムとの有機性が物足りない。
 リズムとホーンがまったく互いに合わせず、丸無視で暴れるなら、それはそれで面白い。だが本バンドは拍の裏表をアドリブに使いつつ、今一つ中途半端に聴こえてしまう。リズム側、特にドラムが叩きっぱなしでホーンやベースとの絡みが少なめ、なせいか。
 ムラッけはあるが、サックスのアドリブ・センスは極上。むしろチェリーのフレージングが細切れかも。もう少し、長くてもいい。
 
 本バンドの感想に戻ろう。
 どこか弛緩するムードながら、全体の演奏は悪くない。この日は2ndセットで燃え尽きて、埋火で3rdセットをこなしてるかのよう。ただし根底にパワーが残ってるため、熱さは滲んでくる。
 なんだかんだ言って、30分近くの長尺演奏を成立させるには集中力が必要なのかも。このセットでは聴けるだけでも3曲演奏、メドレー的に曲が推移して、どこか散漫さもあり。

 しかし一曲終わったところでMCが入る構成は、ちょっと違和感あり。"Lover"の前にもしゃべりが入るし。音が潰れて今一つ聴こえないが、もしかしたらブックレットのクレジットが間違ってて、違うセットの集合体を"3rd set"としてない?

 ロリンズのサックスはこの日、3rdセットになって張りが出てきた。例えば(2)。か細さはだいぶ減じて、朗々と野太い響きが堪能できる。心なしか、この曲ではアドリブもフレージングが長い。スラーを多用し力任せさもあるけれど。思い切り吹き倒した。

 ベースもドラムも生き生きとロリンズをプッシュし、ロリンズもばっちり応える。あまりリズムに絡まぬフレージングは本セットでも健在ながら、初日みたいなちぐはぐさは無い。微妙なタイミングで拍を食ってきた。
 考え込むような音数少なめのフレーズから、いっきに大胆で流麗なフレーズへ跳躍する、往年のロリンズ節もたっぷり聴ける。

 (3)でも曲をその場でいろいろ変えながら、緩やかな雰囲気でアドリブを展開するセッションが楽しめる。リズムを無伴奏にしたり、小粋に押したりと変化させる。
 フリーな展開から終盤のディキシー・スタイルまで。幅広さをなんなく掌握する演奏だ。

 主役はあくまでロリンズだと実感するセッション。とにかくロリンズが吹きまくった。

[Set list]
1.Home Sweet Home #1
2.Lover
3.Unidentified Ballad/Alexander's Ragtime Band/ Home Sweet Home #2

Personnel:
Sonny Rollins:ts
Don Cherry:cor
Bob Cranshaw;b
Billy Higgins;ds

Live at the Village Gate, New York, July 28, 1962 3rd set




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