Sonny Rollins 「Complete Live At The Village Gate 1962:62年7月27日」(1962)

 ドン・チェリーとの共演で、当時の実況が伝わる凄いボックス。

 ロリンズは隠遁から復帰後、RCAビクターと契約しジム・ホールと共演したり次の立ち位置を模索していた。その一環でドン・チェリーとも62~63年にかけライブを敢行。欧州ツアーにも行った。これはその前、NYのヴィレッジ・ゲートで4日間にわたるライブの様子。
 当時、62年に"Our Man In Jazz"のタイトルでリリースされていたが。2015年になりCD
6枚に拡大、当時の様子が丸ごと楽しめるボリュームの復刻が叶った。
 まったくの初音源ではなく、過去に他の盤(ブート?)でも聴けたらしいけれど。

 ドン・チェリーと言えば変拍子ジャズってイメージある。奔放だがオーソドックスなロリンズと合うのかと思ったが。なんとも頼もしいゴツッとしたジャズが味わえる。
 なおチェリーとの共演は音盤だと、この時期のライブ音源が主となる。ロリンズがフリーに傾倒しかけた時期、か。結局、ロリンズはオーソドックスな道を選ぶのだが。


 ざっとデータ書くだけでは面白くないので、一枚づつつらつら聴いてみたい。
 まず、CD1枚目。ライブ初日、62年7月27日と、28日1stセットの一部が収録された。
 この初日1曲目が編集され"Our Man In Jazz"に収録。本ボックスでは27分以上にわたる長尺の完全テイクが入った。ぼくは実は"Our Man In Jazz"を未聴なため、オリジナル盤とのコメントは又の機会に。

 本4日間のリズム隊はベースがボブ・クランショウで、ドラムがビリー・ヒギンズ。どちらもこの後しばらく、ロリンズと共演する仲だ。ヒギンズはさまざまなセッションに参加の売れっ子って立場。クランショウはロリンズと関係が深い。
 チェリーだけゲスト扱いかな。どういう人脈のバンドだろう。チェリーは当時、オーネット・コールマンのバンドで名をあげてたらしい。

 さて、演奏。1セットは1時間弱、当日は3セットくらい演奏と思われる。ただし27日で音源が残ってるのは、このセットのみ。
 冒頭からフリーなインプロで期待するが、あまり二人の斬り合いって感じはしない。行儀よくソロを分け合う。ドラムやベースにもスペースをたっぷり分け与え、民主的なアレンジだ。かといって小節数決めて順番にってわけでもなさそう。
 ある程度、その場のノリで長尺ソロをまわすって趣向か。

 ということで、ちょっと(1)は間延び気味。ロリンズのオリジナル"オレオ"を演奏するが、アドリブになったら各人は奔放なもの。特にテクニックひけらかしでもないのだが、やたら打ち鳴らすドラム・ソロあたりで、だいぶめげる。
 ロリンズやチェリーがアドリブ・フレーズを足して、メリハリつけようとする様子も伺えるのだが。半分まじめ、半分は手なりって感じかな。このテイクを編集は、正解だと思う。どうハサミ入ってるかわからないけど。とはいえ27分半が25分に編集だから、大して変わらないか?

 フリーキーなチェリーに比べ、ロリンズはリズムとも対してからまずに、自由にのびのび吹いてる。せっかくのドラムの高速ビートがもったいない。ときどきテンポ・チェンジやベースとの絡みもドラムは聴かせるのだが、ロリンズは独立独歩にアドリブを取った。いちおう、コード進行は意識してるようす。
 だけどチェリーも含めて、あまりアンサンブルの一貫性が無い。散漫なとこも。リズム隊も奔放だ。けっこうベースは拍頭を揺らし、よく言えば奥行き深いグルーヴを作った。

 (2)は曲名無しのオリジナル。完全フリーではなさそうだ。ゆるゆると絡む二管は、まだ隙が多いけれど、あまり堅苦しくないフレージングの踊り具合や、たまに揃う譜割がほのぼのして良い。
 しかしチェリーのソロは、妙におずおずしてる。(2)の5分過ぎでリズム隊が手を止め無伴奏になるシーンがあり、そこでようやく撫ぜるようなフレージングが少々線が太くなった。おもむろにリズム隊が復活し、芯のあるアドリブに展開する場面は、ちょっと良かった。だけど観客はけっこう雑に聴いてるみたい。無伴奏シーンで、わずかに観客のざわめきが聴こえてしまう。

 9分過ぎでいったん曲が一区切り。拍手が入る。そこからロリンズのアドリブが始まった。最初はカウンターでチェリーの賑やかしも加わった。どうせロリンズは自在なため、チェリーが音で加わったほうが、アンサンブルに幅が出て良い。無伴奏の部分ではフレーズ交換で、チェリーとロリンズの対話も聴ける。
 ドラムとベースの盛り上がりが、どっかぎこちない。

 (3)は"Doxy #1 / Love Walked In"のメドレー。これまでのフリー寄りな荒っぽい演奏はいきなり脇へ置き、モダンなジャズを聴かせた。この辺が当時のライブのバランス感覚だろうか。
 ロリンズのサックスはときおり音程を揺らしつつ、崩れそうに頼りなく、しかし甲高いが野太さを残しソロを続ける。ちょっとフレーズが短めなのは、たまたまか。興が乗るまでは、じわじわとフレーズを小刻みに重ねた。
 
Personnel:
Sonny Rollins:ts
Don Cherry:cor
Bob Cranshaw;b
Billy Higgins;ds

Live at the Village Gate, New York, July 27, 1962


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