TZ 7256:Merzbow "Sphere"(2005)

 ちょっと毛色の違う、メルツバウを楽しめる。

 TZADIKでメルツバウはリリースが本作以降無い。ジョン・ゾーンとの相性かな。意外とゾーンはプレイヤーとしての音楽に軸足置いてる気がする。もちろんイクエ・モリなどを筆頭にエレクトロニクスにも寛大だが。

 本盤リリースな05年頃のメルツバウと言えば、動物愛護を主張軸にラップトップへ完全移行、さらにリズミックなアプローチを投入の頃だ。生演奏としてドラムに再び興味を示すのは、09年頃だからもうちょっとあと。とはいえ本盤でも(1)を筆頭に、生演奏らしきドラムが既に聴ける。

 空間を埋め尽くすハーシュノイズと、濃密なオーケストレーションな構成がメルツバウの特徴だが、本盤の音像は逆にすっきりしてる。ドラムとドローンなエレクトロノイズ、ハーシュな上物が飛び交う構造ながら、特にイヤフォンで聴いてると見通しのよさが新鮮だ。

 メルツバウは本盤で、アルバム・タイトルの"Sphere"組曲と、"Untitled for Vasteras"と銘打たれた曲、二種類のコンセプトを投入した。"Merz~"の名を冠したアルバム群でコンセプチュアルな統一性を持たせてた時期なのに、本盤のとりとめなさは珍しい。
 さらに動物愛護の主張も影を潜め、純粋に電子音楽として本盤をリリースした。

 派手さは薄いし、剛腕ノイズとも言い難い。低音とリズム、うねりながら展開する電子音。むしろまっとうで生真面目なアプローチが目立つ。作曲要素を前面に出したら、TZADIKのComposerシリーズで出てたのでは、というほど。
 実際にはたぶん、ほぼすべてが即興的に紡がれたと思うが。

 ハーシュ・ノイズの暴力性とは逆ベクトル。良質な電子ノイズ作品として聴きたい。

 なお約10年前に本盤について、僕が書いた感想はこちら。
http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Drum/1400/mzz/m_sphere.html

Personnel:
All music by 秋田昌美
Masami Akita :Compuer,Percussion

Recorded and mixed October-November 2004 at bedroom and Living room,Tokyo
Produced by Masami akita
Mastered at Hit Factory by Scott Hull at Hit Factory Mastering,NYC.



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