TZ 8034:M C Maguire "Meta-Conspiracy" (2007)

 テクノ風味を取り入れた現代音楽。


 M C Maguireはアカデミックな教育を受けた完全にクラシック畑の人だが、テレビや映画音楽も手掛け、ポップスや電子音楽にも興味を示す活動をカナダでしてきたらしい。
 抒情性は多少あるけれど、むしろメカニカルな構造が本盤では主体だ。

 Discogsによれば本盤が1st。その後に米Innova Recordingsから"Trash Of Civilizations"(2009),"Nothing Left To Destroy"(2011)の2枚がリリースされている。
 

 本盤は長尺の2曲入り。(1)が01年、(2)が03年の曲。本盤が07年発売なので、ちょっと前の作品を収録したことになる。
 (1)はピアノ独奏曲のクレジットだが、並列する電子音楽がコミカルに響き続け、シンセのオケとピアノが同時進行であるかのよう。
 音楽の感触は柔らかく、速いパッセージで抽象的なメロディが駆けるところは、ザッパ的なアプローチだ。フレーズはリズミックだが、けっしてダンサブルではない。これが現代音楽の堅苦しさを感じさせるけれど、けっして頭でっかちに終わらず親しみやすさを残した。
 いまひとつ楽曲の全体構造が読めず、場面ごとにどんどん新しい音符が付け加えられてる感じ。とはいえ最後はハードロック風のチープなシンセの音色が埋め尽くし、奇妙なほどドラマティックな終焉を盛り上げた。

 (2)はエレキギターに作曲家を含む三人の声、のクレジット。これまたパワーロック風の断片が飛び交うコラージュな幕開けだ。野太いシンセとドラムを含むハードロックな展開は、小節感を感じさせぬ断片のつぎはぎ。
 声のクレジットは歌でなく、ところどころで聴こえるつぶやきや軽い歌を指すようだ。

 実際にはふんだんにシンセが背後を飛び交い、エレキギターの独奏感は皆無。シンセは作曲家の打ち込みかな。抽象的なフレーズの合間で、思い出したかのようにエレキギターがディストーション効かせて鳴る。まるでハードロックのパロディだが、たぶん大真面目な楽曲。茶化す意図はなさそうだ。
 それだけに、何とも中途半端さが漂う。ハードロックとクラシックの融合まで行かず、音を単に玩んでるかのよう。この辺の無機質な音楽への距離感が、まさに現代音楽っぽい。
 愛情ではなく理知で、感情でなく知識で音をいたずらに遊んでるように感じてしまう。エレキギターでの早弾きフレーズは特に珍しくもないし、ミックスが平板でエレキギターがサンプリングのよう。

 ギタリストのJohn Gzowskiも、クラシック寄りの奏者みたい。なおさらロックそのものへの愛情が感じられない。むしろバリバリのバンドメンを起用したら、それはそれで面白いのに。
http://www.johngzowski.com/

 ということで、メカニカルさで意味あいが剥奪された(1)のほうが楽しめた。(2)はテープ操作の下手くそなDJを聴いてるかのよう。しかし作曲家のMCってのは、こういうDJ文化への親和性も表現だろうか。

Personnel:
on 1
David Swan: Piano

on 2
John Gzowski: Electric Guitar
M C Maguire: Vocals
Christine Duncan: Vocals
Sam Sinanan: Vocals



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